ビブリア古書堂の事件手帖/三上 延

■文学・評論,龍的図書館

三上 延
アスキーメディアワークス (2011-03-25)
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そういえば、最近、古本屋に行ってない。

特に高校生のころは、ちょうど帰り道に古本屋があったせいで、毎日のように通っていたから、そこの店主にオヤジとは、すっかり顔なじみになった。

その後、僕は就職し、実家を離れると、もう足を運ぶことはなくなり、知らないうちにつぶれてしまって、その後、店の扉が開かれることはなくなってしまった。

いまでも、まるで時間が止まったままのような状態で、たたずんでいる。

のっけから、話が別の方向に行ってしまった。

この本は、新聞の広告欄で何度か見かけて、ちょっと気になったので、図書館で予約。

舞台は、北鎌倉駅のすぐ脇にある、ビブリア古書堂という古書店。

主人公は、ひょんなことから、その古書店にアルバイトとして働くことになった五浦大輔と、極度の人見知りの古書店主、篠川 栞子。

並外れた古書の知識を持つ彼女が、古書店に持ち込まれる本を手がかりにして、その本に関わる人々の謎を、鮮やかに解いていく。

古書店に持ち込まれる本のタイトルが、そのまま章立てになっているのもおもしろい。

夏目漱石「漱石全集・新書版」
小山清「落穂拾ひ・聖アンデルセン」
ヴィノグラードフ・クジミン「論理学入門」
太宰治「晩年」

当然ながら、その本の内容が、謎を解く鍵になる。

この話で、とても印象的だったのは、「人の手を渡った古い本には、中身だけでなく本そのものにも物語がある」という台詞だった。

また、太宰治が誰かを励ますために、自筆で署名したとされる言葉も気に入った。

「自信モテ生キヨ 生キトシ生クルモノ スベテ コレ 罪ノ子ナレバ」

ライトノベルらしい読みやすさで、一気に読んでしまった。

美人の古書店主なんて小説の世界ならではだよなぁ…なんて思いつつ、もっと彼女の謎解きを見てみたいな…と思っていたら、来週続編が発売されるようだ。