きのこる/堀 博美

きのこは、多くの人たちにとって、気になる存在であることは間違いない。
その証拠に、ちょっと街を歩けば、きのこをモチーフにしたキャラクターや商品があちこちで見られる。
興味深いのでは、同じ“きのこ”という種類でも、松茸のような最高級な食材になるかと思えば、食べたら命に関わるくらいの猛毒を持つきのこもいる。
形も、これがきのこ?と思ってしまうようなものから、ベニテングダケのような“ザ・きのこ”のようなものまでさまざま。
ものすごい小さなきのこもあるかと思えば、アルミラリアというきのこの一種は、地球上最大の生物だったりする。
森の中では、決して出しゃばらず、ひっそりとたたずんでいるのに、なぜかしっかり存在感もある、きのこ。
きのこって、あんなに小さいくせに、彼らの何倍ものある動物を殺してしまうくらいの猛毒を持つアンバランスさ。
きのこって、ほんと不思議。
きのこに魅せられているのは、この本の著者だけでなく、僕も意外とそうかもしれない…なんて、この本を読んでいて思えてきた。
きのこの基礎知識から、さまざまなきのこの紹介、気になる毒の話や人間との関わりなど、ありとあらゆるきのこに関する情報が紹介されている。
特に毒きのこに関する話で気になったところはこれ。きのこ中毒を恐れるあまり、過剰に恐れてしまうことがあるという例が挙げられていたが、これらは、意外と知られていないかもしれない。
- 毒きのこは触っただけで危険(ただしカエンタケは除く)
- 毒きのこの胞子を吸っただけでも危ない(ただしカエンタケは除く)
- 鮮やかなきのこは毒
きのこの正確な知識を持てば、たとえどんなところできのこに出会っても、これまで以上に、より楽しめるかもしれない。
そうしょっちゅうは出会わないかもしれないけど。