3162 2年ぶりの文化庁メディア芸術祭

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前回、ひょんなことから見学できた、文化庁メディア芸術祭だったが、今日は2年ぶりに行くことができた。10日程度しか開催されていないために、去年は行きそびれたのだ。

文化庁メディア芸術祭とは、「我が国のメディア芸術の振興に資するため、優れたメディア芸術作品の発表の機会を提供し、創造性あふれる作品を顕彰するとともに、これを鑑賞する機会を提供」するというイベントで、毎年この時期に受賞作品の展覧会がある。

アート部門、マンガ部門、アニメーション部門、エンターテイメント部門の4つの部門ごとに、賞が選出される。

この展覧会では、それぞれの作品に比較的詳細な解説が書かれているので、作品の持つメッセージ性などがよくわかるのがいい。

会場は、今年も国立新美術館だったが、東京ミッドタウンも関連のイベントが開催されている。今日は朝から雪だったが、今週末で終わってしまうので、今日は行くしかなかった。

いくつか気になった作品を紹介したい。写真撮影不可というのが残念。


【NIGHT LESS】

Googleストリービューは、プライバシーの問題が大きく言われたが、この作品では、そのGoogleストリービューをつなぎ合わせて映画を作ったというもの。

舞台は、ネブラスカ、千葉、アラスカ、ポルトガル、マルセイユだそうで、千葉が混じってるのがなんだか楽しい。映画ではあるが、出典はすべてGoogleストリービューなので、当然ながら、ストーリーは“こじつけ”である。

このタイトルの意味は、Googleストリートビューが昼間にしか撮影できないため、必然的に、この作品に夜がない…よく考えられている。

11分の作品だったが、ちょっと長かったので、半分くらいしか見られなかった。


【The Men In Grey】

グレーのスーツを着た男2人が、オープンワイヤレスネットワークを利用し、見えない情報を収集、公開して、跡形もなく消え去る。そんな映像と、男2人が使っている機器が展示されている。

もちろんこれら全部がアート作品であり、当然ながらフィクションなのだが、リアリティに溢れている。作品の解説によれば、「ネットワークへの絶対的信頼を解体し分析、ネットワーク依存に警鐘をならす」とあった。

たしかに、いまのインターネットを含む、さまざまなインフラに、いつの間にやら、多くの人々が絶対的な信頼をしてしまっていることに気付かされる。安全であるという証明は、いつ誰がしたのか?なぜそれを僕たちは信じているのか?


【sound/tracks】

列車の車窓から映し出した景色をそのまま“楽譜”として変換し、それをピアノに演奏させるという作品。映像に映る、天候、明るさ、速度、窓ガラスの汚れなど、さまざまな条件を含めて変換されるので、非常に複雑な音楽になる。同じ風景は二度と現れないことから、ここで奏でられる音楽もその場所でしか聞くことのできないものとなる。

自分が見慣れた車窓の風景をこれで演奏させたらどうなるんだろう?と思った。


【10番目の感傷(点・線・面)】

作品が展示されているというカーテンで仕切られたその部屋に入るには、10分程度待ってもらう…と係員の方より案内された。

真っ暗な部屋に入ると、その中には、強いライトを光らせながら鉄道模型がゆっくりと走っていた。床には線路に沿って日用品が並べられている。鉄道模型に搭載された光源に照らされた、電球やザル、積み木などが、壁や天井にその影を映し出されると、とても不思議な風景が広がった。

壁に映っている影を見ているだけなのに、あたかもその模型の列車に乗り合わせたかのような錯覚を覚えた。
構造は実に単純だけど、計算され尽くした光景は、ずっと見ていても飽きなさそう。でも、列車が一往復すると、その部屋から追い出されてしまう。


【Teamlab hanger】

洋服店などで、自分に合いそうな服を選ぶとき、当然ハンガーに掛けられた洋服を手にする。それはあまりにごく自然な行動だが、それにあわせて、ハンガーの前に置かれたディスプレイが反応し、その服をコーディネートされた写真やムービーが表示されるという仕組み。意外とありそうでなかったので、いい発想だと思った。

しかし、いかんせんディスプレイが大きすぎやしないか?と思った。自分が手にした服がディスプレイに大写しになるというのは、あまり気分のいいものではないだろう。もちろん、今回の展示はこれ自体が作品だから仕方がないとは思うけど。


外の雪は、やむどころか、ますます強くなってきた。