3160 久しぶりのドラマ評(2011年1月期-)

芸能・メディア・広告

かなり久しぶりのドラマ評。あくまで個人の感想なので、あしからず。今クールは、いつの間にか、3本のドラマを見ていた。


【告発~国選弁護人】毎週木曜日21時~テレビ朝日系

約4年半ぶりの連続ドラマとなる田村正和主演で、クランクイン2009年12月という、ドラマとしては異例の長期間にわたり撮影された作品で、テレビ朝日にとっても、田村正和にとっても、かなりの意欲作と考えていいだろう。

まず見始めて思ったのは、田村正和の声がかすれて、かなり聞き取りにくいということだ。ふだんの会話の中で、聞き取りにくいときに、「えっ?」って聞いてしまうのと同じ感覚で、田村正和に「えっ?」って聞いてしまいたくなるほど、言っていることがわからないときがある。

第1話は、政界を巻き込んだ一大スキャンダルという、重いエピソードから始まったので、このあとどう展開していくのだろう?と思っていたら、第2話であっけなく終わってしまった。どうやら1話から2話で完結するドラマだったのだ。

この手のドラマとしては致し方ないのかもしれないが、“法廷でどんでん返し”というのは、いかがなものかと思う。これでは、警察があまりにずさんな捜査をしているということの裏返しだ。

容疑者とアリバイを崩す目撃証言に疑問を感じた佐原は、足繁く現場に通い、証拠を集め、さまざまな推理を重ねていった結果、目撃証言自体がウソだったという結論に至る。しかし、当日、現場でゲリラ豪雨による停電があったという証拠が突きつけられる。

…えっ、そもそも、目撃証言に疑問を感じたのならば、当日停電があったこと自体に気付くのが先じゃないか?…とツッコミを入れたくなる。ここでは取り上げられていなかったが、防犯カメラでチェックしようと思いつくだけでも、目撃証言がウソだとわかるのに…

せっかくの推理も“脇の甘さ”が気になってしまう。出演する俳優陣が豪華なだけに、より残念に感じる。


【外交官 黒田康作】毎週木曜日22時~フジテレビ系

織田裕二主演の映画「アマルフィ女神の報酬」の続編に相当する連続ドラマ。

昨年テレビで放送された映画を見たが、あまりにツッコミどころが多く、ある意味、エンターテイメントとして楽しめたが、今回も映画同様、ツッコミどころは満載だ。

映画ではオールイタリアロケだったし、ドラマの初回も、サンフランシスコでのロケとあって、気合いの入り方が違うと感じた。もっとも、こうしたドラマで“外交官”という仕事を取り上げるというのは、そもそも無理はあって、2話目以降、舞台は東京となり、一般的なドラマと何ら変わらなくなってしまった。

しかも、日本にいるわけだから、外交官らしい仕事はあまりない。。映画でもそうだったが、ストーリーの都合上からか、警察や探偵と同じようなことをすることでドラマが展開する。

織田裕二の演技も、役柄のせいだろうが変化に乏しい。踊る大捜査線で見せたような、“はっちゃけさ”もなく、ちょっと物足りない感じがする。

あと気になるのは、草刈民代の演技。彼女が登場するたび、なんだか無理してるというか、上手く役に乗り切れていないような…そんな違和感を覚える。

先日、在日メキシコ大使館から、このドラマに対して抗議があったとニュースで伝えられていた。たしかに、在日メキシコ大使館員が、交通事故をもみ消してもらうよう日本の外務省に頼み込むシーンや、香川照之演じる不法入国者をかくまうシーンが登場していた。ドラマとはいえ、メキシコの立場からしたら、違和感を覚えるシーンだろう。これも、ある意味脚本の甘さなのでは?…と感じる。

海上保安官、弁護士、警察といった、“職業ドラマ”に人気が出ると、志望者も増えることもあるが、このドラマでは残念ながら、そういうことはなさそうな気がする。


【デカワンコ】毎週土曜日21時~日本テレビ系

警察犬並みの嗅覚を持つという、ゴスロリファッションの花森一子(通称:ワンコ)を演じるのは、多部未華子。川越を舞台にした連続テレビ小説で主演していた女優だ。

鼻が利くという役柄のせいで、「そんな顔して女優生命に問題ないのか?」と思えるくらいの表情でカメラに近づく。

もともとマンガを原作としたドラマで、そもそもの設定がぶっ飛んでいるせいもあって、むしろ見る側に違和感を覚えさせない。そのおかげで、肩肘張らずに気楽に見ることができる。

ただ、どうも気に入らないのは、組織の末端にいる主人公が、どういうわけだか、上層部と繋がりがあるという、ドラマやマンガで見られる設定だ。今回は、ワンコと警視総監(伊東四朗)が知り合いという設定だ。サラリーマン金太郎でも、主人公矢島金太郎の、よき理解者が社長(会長?)というのに似ている。話が行き詰まったとき、簡単に解決してしまえる“切り札”があるというのは、ドラマをつまらなくする気がするのは、僕だけだろうか?

Posted by ろん