2965 都営地下鉄・東京メトロ一元化に期待

社会・政治・事件,鉄道

「東京メトロと都営地下鉄を一元化へ」という猪瀬直樹のコラムを見つけた。

民営化された東京メトロは、利用者に対して利益を充分に還元していない。同じ地下鉄という公共インフラを土台とする東京メトロと都営地下鉄を一元化して、利用者の利便向上をはからなくてはならない。都では、僕を座長とするPT(プロジェクトチーム)を立ち上げ、検討を始めた。

現在、東京都副知事に就任している立場の言葉だけに非常に期待の持てる話だった。

初乗り運賃は、都営地下鉄(170円)は東京メトロ(160円)に比べて高く、また乗れば乗るほどその差は開いてしまう。都営地下鉄と東京メトロを乗り継ぐ場合、合算金額の70円引になるものの、さらに東京メトロ、もしくは、都営地下鉄に乗り継ぐと、ふたたび初乗り運賃がかかってしまうという不条理さ。

外国人が東京にやってきたら、「なんで同じ地下鉄なのに運賃も改札も別なんだろう?」と不思議に思うだろう。いや外国人でなくたって、東京に不慣れな人が見たら、違和感を覚えるはずだ。

歴史的な経緯があるのは、もちろんわかっているが、一般の利用者にとっては、まったく関係のないことだ。

これまで、こうした“不便さ”については、僕自身も一利用者として気になっていたが、これ以外にも問題があると指摘する。

このコラムの中で、東京メトロは、都営地下鉄同様に税金を使って作られた公共インフラにもかかわらず…

東京メトロは、1日あたり乗客数が100万人を超える路線を5つも保有しており、利益剰余金は民営化後1800億円にまで膨れ上がっている。新規投資もなく利益が出ているのであれば、値下げして利用者に還元するのがスジだが、その兆しもない。

利用者が日々不利益を被っている一方で、蓄えられた利益が還元される前に、政府は、政府の持っている東京メトロの株式をできるだけ早く売却しようとしている。

東京メトロは、政府が約53%の株式を持つ筆頭株主だ。

もし過半数の株式が民間に売却されてしまったら、東京の地下鉄を一元化することはかなり難しくなってしまうと考えるのは自然なことだ。

しかし、東京メトロの残る約47%の株は東京都が持っているだけに、都副知事猪瀬直樹にも相応の発言力がある。

借金に苦しむ政府が、少しでも資産を売って、“家計の足し”にしたいのはわかる。しかし、単純に売り払ってしまうだけというのでは、あまりに稚拙で、大所高所でものごとを考えてないといわざるを得ない。

営団地下鉄時代から、これまでも何度か浮上した、都営・メトロ一元化。今度こそ本格的に実現できるよう祈るばかりだ。

Posted by ろん