2327 九段下ビルが織りなす人の縁

物思いに耽る(雑感)

明日まで開催されている写真展「『そのままで、存在していた場所』を展示する。」(PDF)を見に、九段下ビル(九段下テラス)まで行ってきた。

ふだんの生活を送るなかでは決して関わることのない画家の大西信之さんとお知り合いになることができたのは、この九段下ビルを探検したのがきっかけだった。

そして、その大西さんに僕を紹介してくれたのが、このイベントを主催されている「領域探査デザインの新藤典子さん。これまでメールなどではお話しさせていただいたが、直接お会いするのは今日が初めて。

新藤さんは、こうした九段下ビルのような、“ヒドイ制約”のある物件が、レンタルスペースとして活用可能かどうかを探るプロジェクトに携わっているという。

インターネットで、僕が九段下ビルのことを紹介した記事を見つけたときには、正直かなり驚いたという。そりゃそうだろう。知らない人が入り込んで“勝手に”大事な物件を探検していたのだから…。それでも純粋に、九段下ビルに関心を持つ者のひとりとして認めていただいて、こうしてお話しできる機会を持たせてもらえたのはとても嬉しいことだ。

僕が初めてこのビルを訪れたときは、まさに「朽ちるに任せる」という表現がぴったりくるような場所だったが、いまはレンタルスペースとして機能するほどまでに整備されていた。それでも、最初に見た「朽ちた」感じはそのままで、このスペース自体、味があるというか、見応えのある雰囲気は変わっていなかった。

もちろん、ここまでくるまではいろいろあったようだ。
堆積したゴミやホコリとの格闘、崩れ落ちる壁や天井、一度閉じると開かなくなるようなドア、なぜか木まで育っていたコンクリートのテラス、ビルの3階なのに床下から三輪車や乳母車が発掘…など、とにかく大変ではあったようだが、逆にそれだけ魅力的でやりがいのあるプロジェクトだと思う。

しばらく見学している間、すぐ隣に居合わせたイシさんという方といろいろお話しさせてもらった。聞けば、イシさんも「中古建築愛好会」というサイトを主宰されるくらい、古い建物に興味があってあちこち見学されているとのこと。

ちょうどいま、銀座で展覧会を写真展を開催していると教えてもらったので、可能であればなんとか見に行ってみたい。

九段下ビルから始まった人とのつながりが、どんどん続いてとてもワクワクする。

Posted by ろん