2328 銀座、奥野ビルにて

建築・都市

昨日九段下ビルで初めてお会いしたイシさんが催している「廃ビル迷路展(木造校舎付き。)」に行ってきた。

銀座で戦前から残る特徴的なビルとして有名な、奥野ビルがその会場。1932年(昭和7年)に建てられた奥野ビルは、先日のタモリ倶楽部で、珍しいエレベータがあるということで紹介されていたばかりだったので、ちょうど気になっていたところだった。

お楽しみ?のエレベータはあとから見学するとして、建物を探索しながら、階段で4階のギャラリーに向かう。
ギャラリーには、惜しまれつつも解体されてしまった同潤会大塚女子アパートメントハウスをはじめ1930年代の建物や、廃校となった茨城県の小学校など、イシさんが撮影された写真が所狭しと並べられていた。

大きな写真を掲げるだけではなく、小さな写真がいくつも並べられ立体的に見せるような工夫がなされていた。写真と写真の間の風景は、見る人の想像にお任せする…といったところか。小学校を写した写真では、小学校で使うような画鋲を使うという細かさも見逃せない。


ギャラリー内はこんな感じ

イシさんが中国で買ってきた猫のツボ

僕と同じころに訪れていた見知らぬ方と、ふとしたことでお話しさせてもらう。

彼は、制服姿の女子高校生をモチーフに写真を撮り続けられているという。“女子高校生(!)”…というだけで、正直軽い違和感みたいなものを覚えたけれど、実際に作品を見せてもらうと、それはまったくの偏見に過ぎないことがわかった。とても幻想的な光景や表情は芸術作品そのものだと言えた。でも被写体が被写体だけに、やはり奇異の目で見られることも少なくないという。

「それでも写真を撮り続けるのはなぜか?」と聞いてみた。

ちょっと悩ませてしまう質問だったようだが、返ってきた答えにハッとした。

「(僕が)九段下ビルにおそるおそる忍び込んで写真を撮ろうとしたのと同じじゃないですかね?」

なるほど…。
自分でもあのときどうして思い切って写真を撮りに行ったのか、いまだによくわからない。他の人から見たら、奇異の目で見られても不思議ではない。でも、あのときは「自分の目で見てみたい」、「写真に残したい」という思いでいっぱいだったのだ。被写体は違ってもどこか似た共通点があるようだ。

実に、2時間近く、ギャラリーで過ごさせてもらったが、その間、先述の方以外にも、何人もの方とも興味深いお話しをすることができた。お相手してくださったみなさま、ありがとうございました。そして、人の写真展の会場で、こんなお話しをさせてもらうなんて、イシさんには大変失礼なことをしてしまったが、とても貴重な経験ができたと思う。ありがとうございました。

なお、奥野ビルについては、のちほど詳しく紹介したいが、とりいそぎエレベータの写真を3点ほどアップしておく。いまどきかなり珍しい、ドアの開閉が手動式のエレベータなのだ。

奥野ビル

Posted by ろん