ピクトさんの本/内海 慶一
ピクトさんの本 内海 慶一 ビー・エヌ・エヌ新社 2007-04 |
ピクトグラムとは、非常口サインのように注意を促したり、情報を提供するための記号のことで、一般的には文字ではなく、絵で表されている。
この本は、ピクトグラムの中でも、特に人間がモチーフになっているものだけを、世界中から、集めて紹介している。さらにそうしたピクトグラムを、この本では、ピクトさんと呼び、人間に代わって“自らの身体を犠牲にして道行く人に危険を知らせている”…すなわち「被苦人(ピクト)」であると、著者はいう。ここでは、ピクトグラムに独立した人格を与え、彼らの苦労をたたえている。ピクトグラムばかりを集めて、研究するという視点はとても面白い。
すごく面白いのだけれど、著者があまりに熱を入れすぎているが故に?、ちょっとしつこい感じを受けてしまった。無理しておもしろおかしくしなくても、系統立てて淡々と紹介するだけでも、十分じゃないかと思う。
ひととおり読み終わったところで、ちょっと考えた。
頭をぶつけたり、滑って転んだり…さまさまな失敗を“演じる”のが、ピクトさんの役割である。そうした“ぶざまな”姿は、どこかちょっとおかしいのだ。はたして、このおかしさはどこから来るのだろうか?実際、この本だって、この“おかしさ”があるからこそ、成り立っているはずで、ピクトグラムとはあまり関係ないけど、笑いの奥深さ感じた。
ふと…かつての、ドリフターズのコントで、いかりや長介が他の4人のいたずらにまんまと引っかかって、痛い思いをしたり、ずぶぬれになったりするシーンを思い出した。