議論の余地しかない/森 博嗣
議論の余地しかない 森 博嗣 PHP研究所 2002-12 |
かつて国立大学の助教授(工学博士)でありながら、小説家として活躍している著者の珠玉のエッセイ集。
ページをめくって表れる言葉のひとつひとつが、みんな考えさせられることばかりだ。
ひとつの事象の見方はひとつじゃないとはわかっている。
けれど、自分も周囲も同じような見方しかしたことがなければ、なかなか、他にそんな見方があるなんて思いつかない。著者は、そうしたことに気付いて、さりげなく、わかりやすい言葉で表現している。これまた図書館で借りた本だが、またしばらくしたら借りてみたい。そう思わせる本だった。…って買えばいいんだけど。
考えさせられたいくつかの言葉を引用してみる。
- 真実
- 「正解とは、真実とは、本人が最も納得できる仮説に他ならないのです」
- 理由と行動
- 「人は常に理由を持って行動するのではない。それにもかかわらず、常に理由を探そうとする。」
- プロテクト
- 「誰でも自分に足りないところ、弱いところを、カバーしようとする。そうやって、何重にもバリアを張っていくのさ。その繰り返しで、大人になって、成長して……」