議論の余地しかない/森 博嗣

■文学・評論,龍的図書館

4569625592 議論の余地しかない
森 博嗣

PHP研究所 2002-12
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かつて国立大学の助教授(工学博士)でありながら、小説家として活躍している著者の珠玉のエッセイ集。

ページをめくって表れる言葉のひとつひとつが、みんな考えさせられることばかりだ。

ひとつの事象の見方はひとつじゃないとはわかっている。
けれど、自分も周囲も同じような見方しかしたことがなければ、なかなか、他にそんな見方があるなんて思いつかない。著者は、そうしたことに気付いて、さりげなく、わかりやすい言葉で表現している。これまた図書館で借りた本だが、またしばらくしたら借りてみたい。そう思わせる本だった。…って買えばいいんだけど。

考えさせられたいくつかの言葉を引用してみる。

真実

「正解とは、真実とは、本人が最も納得できる仮説に他ならないのです」
理由と行動

「人は常に理由を持って行動するのではない。それにもかかわらず、常に理由を探そうとする。」
プロテクト

「誰でも自分に足りないところ、弱いところを、カバーしようとする。そうやって、何重にもバリアを張っていくのさ。その繰り返しで、大人になって、成長して……」