御巣鷹の謎を追う/米田 憲司

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御巣鷹の謎を追う -日航123便事故20年 御巣鷹の謎を追う -日航123便事故20年-
米田 憲司

宝島社 2005-06-23
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これは、よくコメントをいただく、ぶりさんの紹介で読んだ本。

1985年8月12日。あの忌まわしい事故が起きた日のことは、古い記憶がほとんどない僕でも覚えている。

その後の事故調査については、整備不良により圧力隔壁が破壊されたことによる…とされ、他にも諸説あるものの、ほぼそれで間違いなのではないかと思っていたが、この本を読むと。どうもそうとも言い切れないのではないかと思えてくる。

墜落現場が特定されるまでに相当な時間が掛かったことや、アメリカ空軍が墜落現場を発見したにもかかわらず救助に向かわなかったことなど、非常に気になる話多数。

実際に記者として事故を取材を経験した経験と、ボイスレコーダの解析、さまざまな証言、文献などを駆使し、論理的で科学的な検証をしている。かなりのボリュームで、少々難しいところもあるが、読み応えがある。

コックピット内の会話を記録したボイスレコーダの音声とCG映像が収録されたDVDが、本書の付録だったようだが、今回図書館で借りた本には、なぜか付いていなくかったのは残念。

自衛隊幹部、目撃者、遺族、日航の現役乗務員や整備士をはじめとする関係者などから、直接取材を行っていることもあって、以前読んだ本と違って、内容に偏りが感じられない。

その結果、やはり、事故調査報告書の内容については疑問を持ってしまう。

本書の後半でも触れているが、二度とこのような事故が起きないようにするためにも、事故調査のあり方についても検証するべきだろう。

折しも、福島第一原子力発電所での事故も、人災の色合いが濃くなりつつある。こうした事故にも、 教訓を生かすことが、この事故で亡くなった方々のせめてもの供養になると思う。