「テロリスト」がアメリカを憎む理由/芝生 瑞和

■社会・政治・事件,龍的図書館

4620315419 「テロリスト」がアメリカを憎む理由
芝生 瑞和

毎日新聞社 2001-11
売り上げランキング : 384349

Amazonで詳しく見る by G-Tools


 燃え上がり崩落する寸前のワールドトレードセンタービルが表紙で目をひく。タイトルでテロリストに「」がついていることが、本書では重要な意味を持っている。「テロ」や「テロリスト」という言葉は、立場や使われる状況によって大きく異なる意味を持ち、公平であるべきジャーナリストが安易に使うべきではないという考えに基づく。ただ言い換えるのも適切ではないので「いわゆる」という意味で「」がつけられている。
 イスラエルとパレスチナの問題は、日本においてはなかなか理解されにくい。学校の授業ではほとんど触れられることはなく、日常生活においても直接影響を受ける話ではないからだろう。しかし、9.11、イラクへの自衛隊派遣、先日起こったスペインの列車爆破…というニュースは、イスラエルとパレスチナの問題は、我々の生活とは全く無縁でないことを思い知られる。本書は少々難解な問題を、著者の経験も交えながら、比較的わかりやすく解説している。中学生には難しいとしても高校生や、せめて大学生くらいには、この本を読んで、具体的な解決方法とまではいかないまでも、せめて日本がどうあるべきか、どうありたいかということを考える機会にして欲しい。(2004/3/31)
【★★★★☆】 -04/04/04更新