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定点観察

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 一日のうちで自分の読みたい本が読める時間は、朝晩の地下鉄の車内だけなので、相当時間が限られてしまう。2週間前に図書館から借りてきた「破裂」*1(久坂部羊著)は、実に450ページにも渡る大作で、返却期限の2週間を迎えて、とにかく大慌てで読んだ。
 僕は地下鉄の車内で本を読む機会が多いが、おもしろい本だと、つい集中してしまって、降りるべき駅を乗り過ごしてしまうことがある。自宅への帰りだったら、本でも読みながらのんびり戻ればいいが、朝そのようなことになると、もともとあまり時間に余裕がないこともあってかなり危険…
 さて、この「破裂」、詳しくは月末に載せる「龍的書店」に書こうと思うが、現役の医師が医療の抱える問題点を中心に描いている小説なので、とてもリアリティがあり話に引き込まれる。いまの自分もそうだけれど、とかく自分がまだ(比較的)若くて、病院にもあまりお世話になることもなく、また身近に高齢者がいないということあって、あまり現実的に考えることができないから、こうした本であらためて現実を突きつけられると、否応なしに考えさせられる。医療過誤、超高齢化社会、介護問題、官僚主導政治などなど、あらゆる重要な問題を取り上げている。
 …超高齢化社会を迎えた日本は、本当に高齢者を支えていくことができるのだろうか?
 …医療技術が進んで、寿命も延びてきたけれど、本当にそれだけが幸せなことなのだろうか?
 この問いに対して、本書の中で衝撃的な回答が出てくる。その回答に対して、全面的に賛成する気はないけれど、それを上回る答えを思い出せないのは、ちょっと悔しい。

*1破裂 破裂

Posted by ろん