解剖学はおもしろい/上野 正彦
解剖学はおもしろい―死体からDNAまでの秘密 上野 正彦 青春出版社 2002-11 |
「死体は語る」で、監察医や解剖学という存在を身近にした著者が改めて人体のしくみを講義してくれる。長年の監察医としての経験を交えながらの講義は、実際に看護専門学校の講師も務めているだけあって、とてもわかりやすい。たとえば、骨格を説明するときは白骨事件、呼吸器系の説明には絞殺事件の例を引用して、しくみだけの話にとどまらない。どの臓器や器官もちゃんと理由があって存在し、機能しなくなれば身体にどのような影響が出るのかといった背景を知ることができるので、理解が深まるような気がする。同じように、もし一般の講師がこのような引用ばかりしていたら、変に疑われるようなこともあるかもしれない。著者が元監察医だったからこそできる講義だと思う。
(2005/2/1) 【★★★★☆】 -05/02/20更新