奪還/蓮池 透

■社会・政治・事件,龍的図書館

4104599018 奪還―引き裂かれた二十四年
蓮池 透

新潮社 2003-04-25
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 2002年10月15日。北朝鮮拉致被害者が帰国した記念すべき日。この日を迎えるまでの戦いと苦悩を拉致被害者家族の立場で赤裸々に語った本。以前、著者の考え方や発言がちょっと強硬すぎるんじゃないかと思ったこともあったが、彼らの境遇を考えたらそう思って当然だと、この本を読んで改めて思った。もし家族が北朝鮮に拉致されることがなかったら、まったく違った人生を歩むことになるわけだし、彼らだって、当然、好きでこんな活動をしている訳じゃない。ごくごく普通に生活してきた人が、ある日突然、何の手がかりもなく姿を消してしまうのだ。そして国内で多数起きている失踪事件のひとつとして、徐々に人々の記憶からも消え去っていく。家族は必死に手がかりを探そうと走り回る。そして、家族の帰国…つまり奪還までの道のりは、無理解との戦いだったようだ。それだけならまだしも、協力しようと見せかけて、結果的にこの問題を利用しようとする者まで現れるのだから、その苦労は察してあまりある。2004年5月、拉致被害者のこどもたちが日本にやってきた。もちろんこれだけでこの問題が終わったわけではない。さらに大勢の拉致被害に遭っていると思われる人たちの調査が終わっていないのだ。まさにこの問題は続いている。こうした拉致被害者とその家族の叫びを、もっと政治家、役人、そして国民が考えていくべきだと思う。 (2004/5/28)
【★★★★☆】 -04/05/28更新