[社会の窓]国立競技場を前にして

社会の窓

昨日、仮囲いが外れた国立競技場を見てきた。

軽く見ただけではあるが、新しくてきれいではあるものの、ちょっと安っぽいという印象が否めなかった。

間近に見た国立競技場
間近に見た国立競技場

この国立競技場は、当初コンペで選ばれたザハ・ハディド氏の案に対して多くの批判が寄せられたために白紙撤回され、すったもんだの挙句、現在の隈研吾氏を中心とした設計案によって建設されたものだ。

ただ、できあがった新しい国立競技場は、将来どのように使われるかについては、ほとんど検討されていなかったようで、用途については、二転三転している。

オリンピックのメインスタジアムなのに、サブトラックを仮設でしのいだため、今後は国際大会が開催できないことから、“球技専用”とされることになっていた。

しかし、球技専用では収益化が見込めず、陸上トラックを存続させた方がコンサートなどの運営がしやすなるといった理由から、一転陸上トラックの存続が決まったという。

結局、莫大な費用をかけて使い勝手の悪い競技場を作ってしまった…ということになったのだ。

さまざまな建築を見ていると、建築の可能性を感じることも多いが、この国立競技場を見ていると、最初にきちんとしたブレないポリシーがないといけないんだとあらためて思い知らされる。

これは建築家の問題というより、どういったオーダーをするかということが大切だろう。

そう考えると、この国立競技場って、ただただオリンピックさえできればいいという考えのもとに作られたんだろうなぁ…と思わずにはいられない。

Posted by ろん