[社会の窓]感情移入
原ノ町駅に留め置かれた車両があると知ったのは、ちょっと前だった。
2011年3月11日。
特急スーパーひたち15号は、上野駅を10時ちょうどに出発し、原ノ町駅へ13時09分に到着。
折り返し、原ノ町15時9分発、上野行き特急スーパーひたち50号として準備をしている最中に、14時46分を迎えた。
地震による路盤の変形と、その後発生した、福島第一原子力発電所の爆発事故により、上野方面へ向かうことができなくなった。
反対の下り側は、地震による津波で路盤が流出し、仙台方面に向かうこともできなくなってしまった。
完全に孤立した状態となった。
行き場を失った車両は、その後、5年間も放置され、見るも無惨な状態となってしまった。
先日初めて見たが、ここまでひどい状態になる前に、何かに活用できなかったか?…と思ってしまう。
きっと、それどころではなかったのだろうけれど…。
目的や役割を失った状態が続くと、劣化がより一層進んでしまう。
これは、鉄道車両だけでなく、人間にも言えること。
だから、活用される機会も与えられず、解体が決定したという先日のニュースは、なんとも心苦しく感じられて仕方がなかった。