表現の技術/高崎 卓馬

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表現の技術―グッとくる映像にはルールがある
高崎 卓馬

電通

著者は、サントリー オールフリー「これでいいのだ」、JR東日本「行くぜ東北」など、数々の著名なヒット作を生み出した、電通のCMプランナーだ。

映画やCMの絵コンテなど、わかりやすい事例を使いながら“表現”づくりの方法論を、著者の経験に基づいて紹介している。

見ようによっては、ノウハウ本のようではあるが、決して、ノウハウ本にとどまらない。

“はじめに”でもあるように、あらゆるものに基本というものは存在し、きちんと磨いた先に新しいものは存在する。基本のスキルを持たないプロフェッショナルなど存在するはずもないといわれれば、なるほど納得だ。

そもそも、表現の使命はひとつしかないという。

その表現と出会う前と後で、
その表現と出会った人のなにかを
1ミリでも変えること。

これは、あらゆる表現で共通することだ。

表現とは、直接、間接問わず、人に働きかけるものだから、CMとか脚本ばかりでなく、ふだんの人の活動すべてと言ってもいいくらいだ。

このブログはもちろん、仕事でプレゼンしたり、相談や説得、単にメールすることだって、表現と言える。

本書の後半に書かれていたことは、当たり前と言えば当たり前なのだけど、なるほどと思うことばかり。

達成感は脳の動きを鈍らせる…「疑う力」が大切。
「違和感は答えを教える」…自分の感覚を上手に使うために。
「難しい方を選ぶ」…他人がしないことを。
「シンプル思考、大きめ思考」…企画が複雑になったら“そもそも”と考え直してみる。

以前から、広告はあまり好きではないのだけど、本書全体を通じて、広告に懸けるストイックな著者の思いが伝わって来るような気がして、広告というのを、ちょっと見直した…かも。

 

Posted by ろん