未来マシンはどこまで実現したか?/石川 憲二
「未来マシン」はどこまで実現したか?−エアカー・超々音速機・腕時計型通信機・自動調理器・ロボット−
石川 憲二
オーム社
21世紀が未来だと思っていた小さいころ。
みんなツルツルの服を着て、宙に浮く車が街を駆け抜け、とんでもないスピードで飛ぶ飛行機で世界のあちこちに出掛ける…なんていう未来を誰もが想像したものだ。
しかし、ほどなくして、そんなわけないということを自覚するようになった。
でも、スマートフォン。
よく考えたら、手のひらですごいことができる夢のような機械だ。
誰も想像しなかったこんな機械が存在する一方で、誰もが実現すると思っていた、鉄腕アトムのようなロボットは実現していない。
この理由として…
・技術・技術の進歩が、ロボットよりも情報・通信システムの分野に偏った。
・社会が高性能ロボットより高度な情報・通信システムを必要とした。
…と考えられるものの、こたえは複雑。
エアカー、超々音速機、腕時計型通信機、自動調理器、ロボット…
期待がおおきかったわりには、結局大した形にならなかったり、想像とは違った形になってしまった“未来マシン”たち。
予想通りに進化したもの、予想以上に進化したもの、予想とは違った方向に進化しているものなど、この本では、未来マシンたちの、さまざまな運命を丁寧にたどっていく。
空気で浮上するエアカーは、ホーバークラフトに、自動調理器は電子レンジという姿で実現しているという解説は、なるほどと思った。
言われるまでそうは思わなかったし、まるで、生物の進化を見ているようで、とてもおもしろく読んだ。