Google Earthでみる地球の歴史/後藤 和久
Google Earthでみる地球の歴史 (岩波科学ライブラリー) 後藤 和久 岩波書店 2008-10-07 |
インターネットによって便利になったなと思うことはたくさんあるが、Google EarthやGoogle Mapは、それを大いに実感させてくれるサービスだと思う。
自宅でパソコンの前にいながら、どんなところにも行けるなんて、ひと昔では考えられなかった。
最高峰のエベレスト(チョモランマ)を目の当たりにしたり…
その頂上から下界を眺めたりすることも簡単にできる。
この本は、そんなGoogle Earthを使った、地球のガイドブック。案内してくれるのは、東北大学の地球科学者で、地球の見どころを余すところなく見学することができる。
フナフティ環礁にある島国ツバルは、地球温暖化の影響で水没の危機に見舞われていると聞いたことがあるが、こうして上空から見ると、もともと国全体が海面ギリギリのところにあるというのがよく分かる。この国で最も幅の広い舗装面は、空港の滑走路だということもよく分かる。
写真右側の荒々しい外洋と比べて、写真左側の環礁内の穏やかな海が印象的だ。
タイトルにあるように、地球の歴史は、自然そのものであるが、人間から見れば災害の歴史でもある。
三陸大津波の被害を紹介したページもあったが、3年前に出版された本なので、東日本大震災が起きる前の写真だった。
本書で紹介はなかったが、ふと、福島第一原発を見に行ってみたら…
水素爆発で吹き飛ばされた原子炉建屋が生々しい状態を目の当たりにすることとなった。
さらに、震災前と震災後の同じ場所から撮影した、Googleストリートビュー(未来へのキオク)で、ある場所を見てみると、津波の威力を目の当たりにすることとなった。
まったく特別な場所ではない、何気なく見た場所ですら、こんな状態になってしまったという事実に、あらためて驚き、言葉を失ってしまった。
本書から話がずれてしまった。
津波や事故も含め、今回の震災は、また地球に、新たな歴史が刻まれたことになるが、そこで生きる人たち、関わる人たちにとっては、あまりに酷な試練となってしまった。