KAGEROU/齋藤 智裕
KAGEROU 齋藤 智裕 ポプラ社 2010-12-15 |
図書館に予約して、約4ヶ月。
予約していた本が届きましたと連絡が来て、すぐに受け取りに行った。
なんといっても、話題の本である。…もう、ずいぶん時間は経ってしまったけど。
書評などでは、ケチャンケチョンにけなされていたが、言われているほど、ひどい内容ではなかった…というのが、ちょっと読んでみての第一印象だった。読みやすい文章ではある。
決して読めない内容ではない。皮肉でもなんでもなく、文字が大きいので読みやすかった。
物語は…
借金を抱え、会社をリストラされた主人公が、投身自殺しようとしたところ、謎の男が止めに入る。謎の男は、主人公はこの男に、ある提案をする。そして…
出版元のポプラ社のサイトには…
第5回ポプラ社小説大賞受賞作。「命とは何か?」「人間の価値とは何か?」という深遠なテーマに、ダイナミックな物語構成で鋭く切り込む。
…とあり、読者に、著者は、「命」や「生きる」ということについて考えてもらおうとしているらしいが、どうもそこまで行き着くことが難しい気がする。
文章がこなれていなくて、回りくどい表現が散見されたり、変なオヤジギャグが、いちいち話の腰を折っている。
これが、文学賞大賞受賞で賞金2000万円の価値があるか?といわれると、正直言って、微妙な感じは否めない。
そして最後のあたりで、訂正シールが貼られていて、なんだろう?と思ったが、どうやらこれは、“致命的誤植”であったらしく、ちょっとした騒動があったようだ。
そんな感じで、なんだか本文よりも、それ以外のネタの方が話題性があって、読んでみても、結局、著者が本当に伝えたかったことは何だったのか?…残念ながら、読後感はすっきりしないものだった。
(★★☆☆☆)