悩める日本共産党員のための人生相談/筆坂 秀世
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悩める日本共産党員のための人生相談 筆坂 秀世 新潮社 2008-11 |
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総選挙がいつ行われるのかよくわからないままの状態が続き、街中がさまざまな政党のポスターであふれかえってきた。
そんな政党のなかで、特に日本共産党は、かなり異質な存在に見える。政策にしても、活動内容にしても、完全に独自路線を歩んでいる。ある意味目立つ存在ともいえる共産党だが、現場で活動する人たちの声というのは、まったく聞こえてこない。
そんな中、新聞の書評欄でおじゃこが見つけたこの本を、さっそく図書館で取り寄せて読んでみる。
日本共産党にとって、最大の収入源である「赤旗」の読者数を増やすことがとても大事なことのようで、5章に分かれた章立ての中で、最初の1章分を使っている。
「仕事と家庭の両立で新聞を遅配しがち。それを指摘されるので集金も苦痛…」
「何十年と必死にやっても部数が減るばかり。疲れ果てました…」
一般の新聞と違って、読者数が少ないと配達範囲は広大になる。集金はしていなかったが新聞配達をしていたので、その大変さはよくわかる。新聞代を立て替えしているケースも少なくないらしい。
先述のポスターにしても…
「候補者のポスターを家に貼ることにどうしても抵抗があります。他の家にポスターを貼らせてくれるよう頼みに行くのも気が進みません」
あぁやっぱりポスターを貼るのも大変なんだ…。
いろいろな苦労が、いまの共産党を支えていることがよくわかる。しかし、この本を読む限り、そうした現場の声が指導部に届いているようには思えない。
しかし著者の言うような…
考えるのは指導部で、あとはそれを学ぶ立場というのが共産党の大きな特徴です
という状況が続く限り、なにも変わることはないし、むしろ弱体化し衰退してしまうとしか思えない。著者のように離党すると「落ちるところまで落ちた」とか、除籍された元党員に対して「党に接近した」といった表現も、かなり前時代的。
ここで挙げられたような党員からの問いかけに、指導部が真摯に耳を傾け、本格的に対策を取れば、日本共産党だけではなく、いまの日本に良い影響を与えるような気もしてくる。
いろいろな意見や考えがあっていい。