パッシング・チャイナ/熊谷 亮丸
パッシング・チャイナ 日本と南アジアが直接つながる時代
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熊谷 亮丸
講談社
売り上げランキング: 123,776
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日本と中国との関係は悪化したまま、改善の兆しは見えない。
中国で発生した日本企業に対する暴動は記憶に新しいし、冷凍ギョウザやレアアース、最近では尖閣諸島の問題など、中国との問題を挙げるといくらでも出てきそうだ。
もともと、中国に対しては、安い労働力、豊かな資源、巨大な市場といったことに魅力で、多くの企業が期待し投資してきた。
しかし、昨今の問題を考えると、直接当事者でない僕でも、中国に頼りすぎるることのリスクを、イヤというほど実感する。
ということで、この本のタイトルは、「パッシング」…過度な中国依存に対して警鐘を鳴らし、中国を素通りして、南アジア…タイ、インド、インドネシア、ミャンマー、カンボジア、ベトナムといった国々と、もっと仲良くなりましょう…と。
いずれも、とても親日的で、親しみやすい国々ばかりだ。
これらの国で、僕が唯一行ったことのあるベトナムは、たしかにとても親日的だったし、バイクの行き交う喧噪はすごかったけど、とても良くしてもらったのが印象に残っている。
中国経済は、まさに“バブル”の状態であり、いつ弾けてもおかしくないが、中国の共産党支配体制によって、山積するさまざまな問題を先送りしているにすぎず、なんとか維持しているだけだという。
日中関係の悪化は、日本経済にとって「蚊が刺した」程度の影響しかなく、日本という国の力を正しく評価すべきだと説く。
本書は、最近の中国と日本との関係、そして南アジアの状況を知る入門書みたいな感じ。
それなりに数字も出てくるが、経済書のような堅苦しさは一切なく、インドネシアは虫の標本が安い といったような、直接、本編と関係ないような、ちょっとしたトリビアなどがちりばめられて、読みやすかった。