謎の1セント硬貨/向井 万起男

■文学・評論,龍的図書館

4062152681 謎の1セント硬貨 真実は細部に宿るinUSA
向井 万起男
講談社 2009-02-20
売り上げランキング : 1477

Amazonで詳しく見る

by G-Tools

著者である向井万起男さんは、ちょっと変わった名前なので、名前を見ただけですぐにわかった。奥さまは日本初の女性宇宙飛行士向井千秋さんだ。きっとそんな紹介のされ方をすることも多いだろうし、ある意味ちょっと気の毒な気もするが、おそらくご本人は、まったく気にしていないような気がする。むしろ、その立場を最大限に利用しているんじゃないだろうか?

この本を読んで、それを確信した。

事実、奥さまが宇宙飛行士ということで、何度も渡米するきっかけができたわけだし、さらには、アメリカ大統領にも会えたり、貴重な体験もできたわけだ。

そして、そんな貴重な体験のおすそ分けがこの本だと思う。

著者は、気になったことがあれば、どんな相手であろうと、メールを出しまくるのだそうだ。そして日本と違って、アメリカでは、きちんと返信してくれることが多いのだという。

著者の観察眼もすごいが、とことん夫に付いていく奥さまもすごいし、丁寧に返信をしてくれるアメリカ人たちもすごい。

たとえば、大統領になるための資格について。

「生まれながらに合衆国市民である者、あるいは、この憲法が採択された時点で合衆国民である者以外は大統領に選ばれる資格がない。また、35歳未満の者、14年間にわたって合衆国住民でない者は、大統領に選ばれる資格がない」

著者がどうしても気になる数字があった。僕も気になる。なんで14年間なのか?もちろん、あちこちにメールを送って調べていく。果たして、その結論は?

たとえば、格安航空会社のサウスウェスト航空の塗装について。

どうして機体全体を茶色にとそうした飛行機があるのかということです。だって、あの茶色ってまるで“うんち”みたいな色ですよ。あんな色の飛行機は、まるで“空飛ぶうんち”です。どうしてそんないろにしているのでしょうか?

こんな、とんでもない質問にサウスウェスト航空はどう答えるか?

サブタイトルにあるように、「真実は細部に宿る」とはよく言ったもので、著者が気になったことは、まさに、物事の本質であることも多いのだ。

本書は全部で15話。基本的に読み切りで、どれもとても読みやすく一気に読めてしまった。

著者は、間違いなく、いろいろなネタを隠し持っているはず。続編を期待したい。

マキオちゃん、チアキちゃんと呼び合う夫婦は、とても仲がいい。夫婦でアメリカ中あちこち旅行しているようだが、いったいいつ仕事しているんだろうという気もした。余計なお世話か。