予知夢/東野 圭吾
予知夢 (文春文庫) 東野 圭吾 文藝春秋 2003-08 |
「探偵ガリレオ」の続編。前作が登場する街全体がまるで理科の“実験室”のような、ちょっと強引?と思われるトリックが“独り歩き”しているような印象が強かった。しかし本書はトリック以上に、登場する人びとの心情や、心の揺れみたいな部分により焦点が当てられていて事件の大きな鍵を握っているような気がした。
一話完結の作りは前作同様だが、第五章 予知る(しる)では、事件は完結せず、その後の展開は読者の想像にお任せしますみたいになっていたりして、全体的に作風が変わった?ような気がした。そういう意味では、“普通の”ミステリー小説らしくなったとも言えるかもしれない…って、ミステリー小説はほとんど読んだことないけど。
この本の感想とは全然関係ないが、気になったことがある。第四章 絞殺る(しめる)で登場する「ホテル・ブリッジ」について、妙に具体的な場所を特定するようなことが書かれていた。
日本橋浜町にある。
建物のすぐ上を首都高速道路が走っている。
箱崎インターチェンジとは目と鼻の先。
ホテルの玄関は清洲橋通りに面している。
ホテルを出てすぐ右側は清洲橋。
一部を除いて、この条件に見事に一致するホテルを思い出したのは、実際ここに宿泊したことがあるからだ。だからなんだ?という話だけど。