カラー版 - 電車のデザイン/水戸岡 鋭治

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カラー版 - 電車のデザイン (中公新書ラクレ) カラー版 - 電車のデザイン (中公新書ラクレ)

中央公論新社 2009-12-11
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先日、岡山駅前で見かけた、路面電車“momo”

この独特な雰囲気を漂わせた電車をデザインしたのは、水戸岡鋭治という工業デザイナー(インダストリアルデザイナー)だということは知っていた。

九州に行くと、見ているだけで楽しくなる電車を数多く見かける。

これは、そんな彼の作品をコンパクトにまとめた本。カラフルな写真とデザインのコンセプトなどをそれぞれ紹介している。

後半は彼の仕事に対する考え方や進め方など、水戸岡鋭治というデザイナーがどういった思いで作品を作り続けているのかを、本人の言葉で語っている。

驚いたのは、彼が“無趣味”だということだった。

絵を描いているとその気になってしまい満足するから…というのがその理由。ヨットを描けばヨットに乗った気になるし、リゾート地の絵を描けばリゾート気分を満喫できる…職業病かもしれない…とも言っているが、こうした、趣味や思い入れがないぶんだけ、デザインをする際に、ニュートラル(中立的)な気持ちでデザインが出来るのかな?なんて思った。

趣味や志向は、本人にとっては楽しいことかもしれないが、第三者から見て、必ずしも受け入れられるとは限らないし、場合によっては自己満足に陥ることすらあるかもしれない。

無趣味であれば、こうした可能性を減らすことができると考えると、プラスに作用しているように感じる。

デザイナーである彼が最初に作る企画書は、ビジュアルは入れずすべて活字にするとのこと。内容は短ければ短いほどよく、誰もがわかる言葉で、時代を捉え、作り上げるモノの価値を端的にイメージできるような企画書にするのだという。

この企画の本質はなにか?ということを、徹底的に突き詰める作業なのかもしれない。

デザインだけではなく、一般的な仕事にも考え方を応用できそうな話も多く載っていた。