2301 昭和30年代物語
「たばこと塩の博物館」で「昭和30年代物語~街角のたばこ屋さんをさがして~」という特別企画展を見学した。
2005年に公開された、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」は観客動員数200万人を突破し大ヒットとなったのは、記憶に新しい。11月にその続編が公開されるが、今回の企画展は、この映画公開に合わせた内容となっている。
残念ながら写真撮影禁止なので、詳しく紹介できないのは残念。
たばこと塩の博物館での企画展ではあるが、たばこばかりでなく、当時の状況や世相がわかる写真やパネル、家電などがたくさん展示されていた。当時の新聞などもが展示してあった。記事にも興味があったが、その下の広告欄に注目。高島屋の広告で、こんなことが書かれていた。
平日午後6時まで営業。 日曜日は午後6時半まで営業
昭和30年代の夜は早かったのだ。
“昭和30年代”という時代を懐かしむ気持ちはわかるような気がする。
誰もが将来に期待を持てた時代であり、時代の大きな変化を実感できた時代であった。当時も「格差」は存在したが決して絶望はしていなかった時代…。
当然僕が生まれるずっと前のことなので、想像することしかできないけれど、社会が閉塞し未来に期待できない現代よりずっと楽しそうだし前向きに生きられそうな気がする。
でも…とふと考えてみる。
当時は当時で、今では考えられないような昭和30年代ならではの大きな問題もあったはず。しかし、いま、昭和30年代のノスタルジーに浸るときには、そうした諸問題については、まず触れられることはない。
おそらく“時間”というフィルターを通してしまうと、きれいさっぱり流されてしまうのだろう。残るのは、すばらしい幻想なのかもしれない。
きっと、当時も、今と同じように、当時よりちょっと前の日本…たとえば戦前の昭和初期を懐かしむなんてこともあったかもしれない。そして、不平不満の渦巻く現代社会も、何十年後に振り返って、「あのときはよかった」なんていわれるときが来る…のかな?…来ないような気がする。