2102 その衝動は自分に向かう

定点観察

性格的に、あまり悪口を言わない方だが、今日のような光景を見ると、日頃使わないような文句を言いたくなってしまう。

朝の満員電車。乗換駅では多くの乗客が降りる。そのまま乗り続ける人は、降りる人の邪魔にならないようにするのは、当然のことだと思う。扉付近だったらいったんホームに降りるのが普通だと思うが、そうしない人が少なくないのだ。

怒濤のごとく乗客がホームに流れていく中で、それに抗して、コートや鞄などが流されないように必死に押さえつつ、苦しみながら扉付近に踏みとどまろ
うとするのは、いったいなぜなんだろう。なぜそこまで我慢しているのか、まったく理解できない。おかげで、人の流れが乱れて、その扉だけ乗り降りに時間が
掛かってしまっていた。

あまりの妙な光景に、引きずり出してやりたい衝動に駆られてしまった。

ただしばらくして、落ち着いて考えてみると、ちょっと気持ちが変わってきた。

”踏ん張っていた人”は、おそらく自分がどういった状態に置かれているのかが、まったくわかっていなかったのかもしれない。もし客観的に自分の姿を見たら、きっと行動を改めるような気がする。

そして、満員電車で見かけたそんな光景の主人公は、時と場所を変えると、もしかするとそれは僕自身になってしまうことがあるような気がしてきた。

無意味に踏みとどまるような醜態を、自分の気付かないところでさらしているのかもしれない。

妙な衝動に駆られた自分を恥じた。

Posted by ろん