ハチミツとクローバー(1~8)/羽海野 チカ
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ハチミツとクローバー (1) 羽海野 チカ 集英社 2002-08-19 |
ルナティック…に続いて、漫画を読んだわけだが、こちらはもはや完全な少女漫画。
“浜田山美術大学”を舞台にした青春群像劇。
登場人物の全てが片思いという、ある種の重苦しさがありながらも、登場人物の特異なキャラクター設定や、美術大学というちょっと特殊な環境ということによって、重々しさは軽減されている。
恋愛という物理的に形のないものを、それぞれ自分なりに解釈をしていく過程を丁寧に描いているという印象を受けた。
自分の想いに正直になれる者、どうしても“ひねくれて”しまう者、現状の関係を変えるのが怖くて何も言い出せない者…まさに、現実と同じ。
竹本の自転車でどんどん行けるところまで行ってみるという“自分探しの旅”や、原田理花に対する想いが断ち切れずに悶々とする真山なんて、まるでデジャブのように思う読者も少なくないんじゃないだろうか?
この漫画の人気は、そうした共感が至るところにちりばめられているからなのだろう。心理描写がうまいと思う。
これはこの漫画に限ることではないのだけれど、“おちゃらけた”際に変化するキャラクターが、一瞬誰なんだかわからなくなってしまうのは、見慣れていないせいか? なんと言っていいか文字では説明しにくいのだけれど…うーん。
借りることができたのは8巻まで。まだまだ続いているようだが、その後の展開を見ることができるのはいつの日のことだろうか…って、気になるんなら買えよ→自分。
少女漫画ではあるけれど、男性にも十分に楽しめるのではないか?…というより、むしろ男性や女性と対象を分けるべきではないと感じた。
(2006.5.21) 【★★★★★】 -06/05/21更新