1599 アスベスト

定点観察

 アスベストの被害が毎日のように報道されている。アスベストといえば石綿。石綿といえば「石綿金網」って思い出す。これだけたくさんの人たちが病気になっているという事実を知ると、やはり、ちょっと心配になってくる。もちろん、石綿金網では病気になることはないけど、そういった基本的なこともできるだけ正確に伝えて欲しい。
 ただし、この「正確に伝える」ということがくせ者で、正確に伝えようとするあまり、確率的にほとんどありえないようなことを大きく取り上げて、危険だ、危険だと脅しているような、まるで単に煽っているだけじゃないかと思えてしまうようなことが少なくない。
 鳥インフルエンざで日本中が大騒ぎした件は記憶に新しい。ただ、あれだけ大騒ぎしても、鶏の卵や肉を食べて、人が鳥インフルエンザに感染した例は、世界でも報告されていないし、そもそも日本で鳥インフルエンザによって亡くなった人は、確かいないんじゃないだろうか?当時、何万人もの人たちが亡くなるような報道のされ方をしたが、あれは結局何だったんだろう?

 可能性があることをわかっていて伝えないというのも、おかしな話だけど、伝えるべきことの優先順位というものはあるんじゃないだろうか? センセーショナルに伝えたい気持ちはわからなくはないけど、ほとんど可能性のないことを伝えても、結局なんの役にも立たないわけで、目の前にある問題をどう対処していけばいいかということの方が、大事なんじゃないだろうか?

 今回のアスベストの件について言えば、残念ながら被害の規模は拡大の一途をたどってしまう様相だが、それだからこそ、確率の低い「可能性」を伝えるのではなく、直近の対処の仕方や、どうやって気を付けたらいいのか、潜伏期間が長いとされているが早く見つけ出す方法はないのか?といった身近な問題で伝えることはたくさんあるはずだ。

 さっそく、アスベストの問題を逆手にとって、悪徳リフォーム業者が暗躍し始めているそうだ。奴らは、こういうニュースに敏感に反応する。対抗策は、アスベストに対する基本的な知識だ。それを早く知らしめることで被害を防ぐことができる。つまらない二次被害を防ぐためにも、伝えるべきことは何かをきちんと考えて報道して欲しい。

Posted by ろん