1473 ギザジュウ

定点観察

先日、自動販売機でお茶を買おうと硬貨(10円玉)を入れたが、何度入れても出てきてしまう。見たところ特に変わったところはなさそうだったが、よくよく見ると、周囲にギザギザがついている。いわゆる「ギザジュウ」である。この自動販売機では、この硬貨を本物とは見なしていないようだ。

かくして、このギザジュウは、もうしばらく自分の財布の中にいることになった。以前から、今回のようなことがなくても、ギザジュウを見つけるたびに「ちょっと取っておこう」という気分になる。

ギザジュウは、1956年(昭和31年)を除いて、1951年(昭和26年)から1958年(昭和33年)まで製造されたギザの付いた10円玉のことで、限られた年代しか発行されていないことから、多少希少価値があるのではないかと思ってしまうために、取っておこうという気になるのかもしれない。

改めて調べてみると、価値があるのは昭和32年、33年のもので、取引価格は、100円~200円程度。実際の貨幣価値の10倍から20倍とは言え、あまり希少価値はないみたい。ましてやそれ以外の年に作られた10円玉は、他の年代とほとんど変わらないようだ。

それでも集めている人はたくさんいるみたいだし、希少価値がないというのがわかっても、なぜか一目置いてしまうのが、ギザジュウの不思議な魅力。じっと見ていると、50年もの間、世の中を渡り歩いてきたという重みを感じる。

Posted by ろん