取調室の心理学/浜田 寿美男

■社会・政治・事件,龍的図書館

4582852262 取調室の心理学
浜田 寿美男

平凡社 2004-05
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 凶悪事件が起きたらできるだけ早く犯人が逮捕されて欲しいと思うのは、事件の当事者ばかりではなくその事件をニュースなどで知った一般の人々も同じだ。容疑者として身柄が拘束され、その容疑者が自白してくれれば、事件解決の第一歩だ…と思うのは、当然のことだ。でも、その容疑者が実は犯人ではなく事件とは無関係だとしたら、どうだろうか?「逮捕されるくらいだから疑われるようなことをしているんじゃないの?」なんて、無責任に考えてしまうこともあるかもしれない。けれど、ここで紹介されている事例は、ほとんどが全くの無実としか思えないような事件ばかりで、もしその事件の当事者だったら…と考えると背筋が寒くなるような気がした。一度犯人と決めつけられてしまうと、証拠すら捏造され、しかも最後の砦である裁判官までもが、そういった事実に気付かないケースがあまりにも多いということにも驚かされた。タイトルは「心理学」となっているが、この言葉から受けるアカデミックな部分はあまりなくて、現実的な「現場」での話が中心となる。まもなく日本でも裁判員制度がスタートするが、少しでも冤罪をなくすきっかけとなって欲しい。
(2005/2/1) 【★★★★☆】 -05/02/20更新