地下鉄の歴史 首都圏・中部・近畿圏/佐藤 信之

■鉄道,龍的図書館

4876872600 地下鉄の歴史 首都圏・中部・近畿圏
佐藤 信之

グランプリ出版 2004-06
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多少鉄道に詳しい人であればなんてことないことだろうが、ごく当たり前に存在する地下鉄の路線が決定し着工するまでは、もの大変な紆余曲折がある。それは自治体を巻き込んだ関係者の思惑が複雑に絡んでいるからで、非常に”泥臭い部分”である。また着工し竣工してからも、想定とは違った結果にふたたび右往左往することもある。そんな文字通り地下鉄の歴史を首都圏、中部(名古屋圏)、近畿圏で年代別に俯瞰して振り返っていくのがこの本の目的である。建設当時の珍しい写真や、今では想像もできないような計画や構想といったエピソードなど鉄道にかなり造詣の深い人でも必ずや発見や驚きがあると思う。近年作られる地下鉄の多くが第三セクター方式で、いずれも厳しい経営状況が続いている。川崎縦貫高速鉄道が例として挙げられているが、川崎市民一万人アンケートで、予定通り建設すべきがわずか16%弱にとどまるなど、これまで地下鉄は例外なく必要とされ、次々と作られていたが、そろそろきちんと見極めていく時期にきているのかもしれない。第三セクターの場合、最終的な負担は、当然税金によってまかなわれることになるのだから。

(2005/1/8) 【★★★☆☆】 -05/1/8更新