男女七人ネット心中/渋井 哲也

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4775303651 男女七人ネット心中―マリアはなぜ死んだのか
渋井 哲也

新紀元社 2005-01
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 インターネットを使って知り合った人たちが心中する、いわゆる「ネット心中」がたびたび報道されている。
 報道の中で「簡単に死を選んでいる」みたいな論調も見られることがある。確かに第三者から見れば「もっと考えて行動するべきだった」と思えてしまうだろうけれど、ネット心中を選択した彼らは、決して簡単に死を選んでなんかいない。
 本書では、ネット心中にかかわる、さまざまなケースを紹介しているが、いずれも当事者は相当悩み、苦しんでいる。このつらさは本人しかわからない。周囲は想像することしかできないから、これまた相当もどかしく悩むことになる。
 インターネットが悪いと決めつけるのは簡単だけど、それで解決するわけないなんて、まぁたいていの人は思うでしょう。本書でも触れられているけど、逆にインターネットで救われる人も少なくないわけで、そういった面も考慮されるべきだろう。
 この本を書くきっかけとなったネット心中において、交流のあった”マリア”の死を選んだ理由が最後までわからないと告白する著者の苦悩も感じ取れる。

 取材の中で、ネット心中をした人たちのほとんどが、精神医療を受けていたという。つまり周囲へのサインを出していたということであり、突発的に心中に至ったわけではないということだ。そうなると、ますます何とかしてあげられなかったかという思いに駆られてくる。

(2005/3/27) 【★★★☆☆】 -05/3/27更新