1118 和を以って貴しとなす

定点観察

法隆寺門前に店を構えていた老舗のそば店の、かどやが、奈良県によって強制撤去されられたニュースを見た。店主は「和を以って貴しとなす」という聖徳太子が作ったといわれる「十七条憲法」の言葉を持ち出して断固抗議していたが、彼らの置かれている状況を考えると、ちょっと違うんじゃないかなと思った。約100年前に法隆寺から土地を借り営業を続けてきたが、30年前街路整備事業が決まって、この付近の建物はすべて移転に応じたものの、この店だけが反対。以来工事が20年以上もストップしたままだったという。奈良県は代替地を提案したが「生活を保証できる代替地を用意してほしい」としてそれを拒否。店主側は観光客に迷惑をかけているわけではないのだから「このままここで営業させてくれ」と言っているに過ぎないのだ。これではいつまで経っても解決しない。そもそも、法隆寺の千年以上ある歴史の中で100年の程度の歴史は小さく、景観を守ろうとする県側の考えを僕は支持したい。「和を以って貴しとなす」という言葉は、店主側にこそ言いたい。

Posted by ろん