7764 企画展「日本の版画1200年」
今日は、町田国際版画美術館へ。
企画展「日本の版画1200年―受けとめ、交わり、生まれ出る」の初日ということで鑑賞無料だ。

百万塔は、今から1200年以上の西暦764年、恵美押勝の乱後の動乱を鎮めるために称徳天皇が作ったとされる。
この百万塔のなかに入っている1枚の紙が、制作年代が確かな世界最古の印刷物(版画)なのだそう。
”世界最古”が、こんな身近に見られるなんてちょっとびっくりだった。

日本の版画は、平和を求める祈りから始まった。
平安時代になると、紙面に上から版を捺す「印仏(いんふつ)」と、版の上に紙を置いて摺る「摺仏(しゅうぶつ)という仏教版画が見られるようになる。
ズラッと並んだ仏さまは、試し印みたいな感じに思えてしまうが、もちろん真剣のはずだ。

室町時代の《地天像》には「チ」というように尊名を示す片かなが面中隅に記されていたようだ。
こうしたことから普及を前提とした配慮がよみとれるという。
残念ながら、作品がちょっと離れていて、確認できなかった。

建部凌岱(たけべりょうたい)《海錯図》(かいさくず)は、「海に住むたくさんの生き物」の絵ということ。
この本のなかにはたくさんの魚が登場するが、特にエイを描いた絵は、なぜかほうれい線入りのおっさんみたいな表情をしている。
時代を減ると、いよいよおなじみの作家が登場する。
司馬江漢、葛飾北斎、歌川広重、亜欧堂田善など…。
月岡芳年も、ちょっと前に鑑賞したばかり。
小林清親も意識してみる機会が増えたので、だいぶ覚えてきた。
江戸時代の浮世絵や日本画のような作風でありながら、アール・ヌーヴォーの様式を取り入れた作品。

川瀬巴水の作品もあった。彼の作品もときどき見るが、体系立てて鑑賞したことはないので、詳しくはわからないが、新版画(明治から昭和に作られた江戸時代の浮世絵木版画の技法に、西洋絵画の技法や多色の技術を取り入れ木版画)の作者としても知られている。
海外からの評価も高く、スティーブ・ジョブズもコレクションしていたらしい。

昔から伝わる日本全国のおもちゃを版画で紹介する雑誌のシリーズを企画たと紹介があったのは、編集者で版画家だった料治熊太。
珍しい名字なので、もしかして…と思ったら、やはりかつてTBSテレビの報道特集でキャスターをしていた料治直矢は、彼の息子だった。

「山びこ学校」としてまとめたベストセラー本がきっかけで作られた版画文集「炭焼きものがたり」が紹介されていたが、この「山びこ学校」の作者は、無着成恭とあった。
こちらも珍しい名前だし、たしか…と思って検索してみたら、やはり、TBSラジオの「子ども電話相談室」で有名な回答者だった。

「版画1200年」という企画展は、ずいぶん大きく出たんじゃないかな…なんて思ってしまったが、全体を通してみると、誕生してから今日に至るまでの版画の役割の大きさがとても良くわかった。
いろいろな作品を鑑賞できて、とても見応えがあった。
ひとつの版からたくさんの同じ絵を生みだすことができる版画の特性によって、経年による版の変化や、作者自身による版や刷りの改変といった「ステート(刷りの段階や状態)」などを紹介していて、こちらもおもしろかった。











