特急マーク図鑑/松原一己
- 特急マーク図鑑
- 松原一己
- 天夢人 (2022/9/20)
子供のころから鉄道好きで、図鑑などを食い入るようにして見ていた思い出がある。
これは、ちょうど全国の特急列車にトレインマークが用意され、充実してきたタイミングと一致している。
ブームともいえる状況もあって、本やグッズなどがたくさん出回っていた。
僕自身も「特急大百科」のような分厚い本を持っていたし、お菓子のおまけか何かで特急列車のカードを集めたし、特急列車の運転経路の地図が描かれたごみ箱なんかも持っていた気がする。
もっとも実際に特急列車に乗る機会はほとんどなかったのだけど、そんな本やグッズを見るだけでもなんだか楽しくなっていたことを思い出す。
そうしたグッズの格好のアイコンだったのが、トレインマークだった。
だから、いま見ても、乗ったこともないのに懐かしさを感じてしまう。
本書では、現在までに登場した、あらゆるトレインマークとその略歴が紹介されている。
この順番が、愛称別五十音順に紹介されているため、ずいぶん前に廃止になったものと、現在でも走っているものと混在しているところがおもしろい。
気になるトレインマークが出てくると、そこで紹介されている解説では飽き足らず、ネットで検索することがたびたびあって、なかなか読み進められなかった。
読んでいてあらためて思ったのは、最近の特急列車には、かつてのようなトレインマークがなくなってしまったということだ。
かつての国鉄時代は、全国で画一的な車両が走っていたために、差別化できるところはトレインマークくらいしかなかったのだろう。
その国鉄が分割民営化して、その地域の特性に合わせた車両が作られるようになると、トレインマークで個性を出す必要がなくなってきたのかもしれない。
インターネットのない時代、限られた情報だけで、さまざまな夢を巡らせることができたということは、いまから考えると不自由ではあったが、楽しい時間だったなぁ…と思ってしまった。