今日が人生最後の日だと思って生きなさい/小澤竹俊
何がきっかけで、この本を読むことになったのかが思い出せないが、これも何かの縁だろう。
著者は、これまで2800人を看取ってきたホスピス医だ。
そうした立場から見た「後悔のない最後を迎える」ための生き方を紹介する。
書評ではかなり評判が高かったので、もしかすると、期待が大きすぎたのかもしれない。
なんとなく自分でも意識していたことがけっこうあって、正直、それほど感動する感じではなかった。
心に刺さる言葉も多く、もちろん、読後感は、読んで良かった…というものだ。
たとえば、なにげないこんな言葉…。
なんの疑問もなく「自分には明日がある」と信じ、明日以降の計画を立てられるのは、とてつもなく幸せなこと。それだけで大きな宝物を手にしているようなもの。
当たり前になっていることは、実は当たり前ではないのだ。
それまで「おいしいものが食べたい」と思っていた人が、「胃ろうではなく、もう一度自分の口で食事がしたい」と思い、「海外に行きたい」と思っていた人が、「もう一度、自分の足でトイレに行きたい」と思うようになる。つまり、当たり前の日常を望むようになるのです。(p.22)
地震や家事といった災害に遭遇したとき、何らかの事件に巻き込まれたとき、人はいやおうなく、非日常の世界に連れていかれ、それまでの日常を振り返ります。
そしてようやく、自分が多くのものを手にしていたことに気づき、感謝するようになるのです。
なるほどな…
本当に何気ないことが、かけがえのないものなのだ…。
いま、こうして、本を読み、感想を書いていることもそう。
あまりに慌ただしい毎日に、真逆の"死"というものを意識することになったということが、自分のことながら、なんだか興味深い。