EDO-100: フカヨミ!広重『名所江戸百景』/堀口 茉純

- EDO-100: フカヨミ!広重『名所江戸百景』
- 堀口 茉純
- 小学館 2013-09-09
- by G-Tools , 2014/02/22
ちょっと前に、いわゆる僕のマイブームだった、名所江戸百景めぐり。
そろそろ、また回りたいなと思ってるものの、他にもいろいろやらなければならないことがあって、なかなか行くことができない状態が続いている。
以前、いろいろ調べているときに出会った本が、こちら。
著者は、アイドルならぬ”お江戸ル”として、"その筋?"では有名な方らしく、最年少で江戸文化歴史検定1級に合格するほど、その知識は折り紙付きだ。
そんな彼女が、100以上ある名所江戸百景のうち、8つの絵に込められた、秘密のメッセージや隠された意図などを、フカヨミしていく。
そもそも「名所江戸百景」は、浮世絵師の歌川広重が1856年(安政3年)2月から1858年(同5年)10月にかけて制作した連作浮世絵名所絵。
時代は江戸末期。
1853年(嘉永6年)にペリーが来航、翌年には日米和親条約により開国し、江戸は幕末の混迷した時代へと突入していく。
そして、1855年(安政2年)には大地震、その翌年に発生した大風災によって、江戸は壊滅的なダメージを受けることになる。
そんななかで、この名所江戸百景が作られたのだ。
震災の復興をテーマに企画されたとも言える。
そうした、当時の状況や文化などの背景を知った上で、鑑賞すると、また違って見えてくる。
浮世絵に、より一掃深みが出てくる感じだ。
浮世絵自体の見方、裏の読み方について、こうした詳しい人からのアドバイスがあるのとないとのとでは、楽しみ方が違う。
- 絵に登場する女性は誰か?
- 当時、本来見えなかったはずの建物が見えるのはなぜか?
- ちょっと変わった格好をしているのは、実は広重本人の姿ではないか?
…など、絵に隠された意味を読み解いていく過程は、無理がなく、とても筋が通っているので、読んでいて楽しかった。
まるで歌川広重からの謎掛けのようでおもしろい。150年の時を経て会話しているとでも言おうか。
もし可能なら、ほかの絵もぜひ“フカヨミ”して欲しいと思った。