外国語になった日本語の事典/加藤 秀俊
外国語になった日本語の事典 加藤 秀俊 岩波書店 1999-07-28 |
日本語由来の多くの言葉が、世界で辞書に載るくらい、市民権を得ている。
その多くは、「芸者」とか、「カラオケ」とか、他に言い回しがないために、日本語がそのまま輸出された“いかにも”といった言葉だ。
ただ、そういった言葉は、単に日本独自のモノだから…というのもあるが、世界各国で受け入れられるそれなりの理由がある。
本書では、海外の文献に初めて登場した経緯や、時代背景などが紹介され、外国語になった日本語の秘密に迫る。
日本語としての意味をあらためて知るのもおもしろい。
例えば、すきやきは、好き焼きではなく、鋤焼きであると知っているのは、いったいどれくらいだろうか?
以前から、気になっていた疑問が解消した。
なぜ津波が、世界各国でそのまま使われるようになったのか?ということだ。
津波とは、もちろん地震によって引き起こされる波のことだが、かつては、津波を表す、適当な言葉がなく、別の言葉で代用していたらしい。
そこへ、1946年4月1日、ハワイを大津波が襲った。
日系人だけが使っていたtsunamiという言葉が、ハワイの新聞を介して広まり始めたという。
一方、ロシア語もtsunamiという言葉は、そのまま使えるそうだが、こちらは広まった背景が異なるそうだ。
サハリンに日本語を理解する研究者がいて、ロシア語圏の研究者に、tsunamiという言葉を紹介したことによるらしい。
その後は、大きな津波が発生するたびに、tsunamiという言葉が、確実に広まっているようだ。
そして、3月11日の震災は、全世界に、tsunamiという言葉をより強く印象づけることとなってしまった。
日本語として広まるのなら、もっと楽しい言葉であって欲しいと思った。