非常階段東京―TOKYO TWILIGHT ZONE/佐藤 信太郎
非常階段東京―TOKYO TWILIGHT ZONE
青幻舎 2008-07-20 |
非常階段…文字通り、非常なときに使う階段だが、実は、けっこう日常的に使われる場所だ。
よく見かけるのは、こっそりたばこを吸うスペースになっている。ビルの間を縫うように走るモノレールに乗っていると、ビルの裏から、そんな非常階段がよく見える。
この写真集は、そんな非常階段から見た東京の風景を集めている。
ただこの写真の中には、東京の名所と呼ばれるような場所は一枚も含まれていない。いずれも、足立区南千住とか墨田区八広といった下町系?の風景とか、新宿区歌舞伎町といった場所ばかり。時間も夕方から真っ暗にならない程度の夜にかけてのように見える。
著者によれば、狙ったのは、トワイライト・ゾーン中間的な時間と空間という。
人々が生活する居住地域と、商業地域が混じり合っている場所で、人工光と自然光が混じり合う、夕刻と夜のはざま を撮影時間に選んでいるのだそうだ。
展望台から見るのとも違う、衛星写真で見るのとも違う、微妙な高さからの独特な風景写真が生まれている。
夜にアーケード街を上から見ると、こんな不思議な光の帯で見えるんだ・・・
ページをめくるごとに、ハッとさせられるような感覚になる。
世界中探しても、日本だけで見られる景色だろう。
当たり前のような、ありがちのような風景なのに、こうして写真集になってみると、とても美しく貴重な風景のように思えてくるから不思議。