たとえば、銀河がどら焼きだったら?/布施 哲治
たとえば、銀河がどら焼きだったら?―宇宙比較講座 布施 哲治 日本評論社 2008-07 |
小さいころから、宇宙にはすごく興味があったものの、宇宙と触れることができるのは望遠鏡で覗いた世界と、宇宙関係の本、そして空想の世界だった。
本から得られる情報を元に、空想する宇宙は、どうしても自分の解釈で考えるから、イメージしにくいことも多い。特に、宇宙の広さや大きさなどは、とてもわかりにくい。
宇宙は、あらゆることが想像を越える巨大さのため、なかなか理解しにくいのだ。
で、この本。
本書のタイトルにある、銀河系をどら焼きだったら、宇宙はどう表現できるだろうか?
そもそも銀河系は直径10万光年あるとされている。端から端まで光の速度を持ってしても、10万年掛かるという距離。厚さは1.5万光年、太陽系は中心から2.8万光年離れているそうだ。
うーん、とにかく巨大だということはわかる。理科の教科書にもそう載っているだろう。
でもよくわからない。
そこで、たとえ話。
もし銀河系を直径10cmのどら焼きに例えると、どうなるか?
もっとも厚いところはわずか1.5cm程度で、太陽系があるあたりは2mm程度しかない“極薄”どら焼きになるらしい。
近隣の銀河に目を向けてみる。日本から肉眼で見える唯一の銀河であるアンドロメダ銀河。これも銀河系とほぼ同じ大きさらしい。その距離は230万光年あるというが、やっぱりよくわからない。
ということで、アンドロメダ銀河も10cm極薄どら焼きにすると、それそれの距離は約2.3mになる。
つまり10cm極薄どら焼きを2mちょっと離した状態が、銀河系とアンドロメダ銀河の位置関係。漠然とした感時はするけど、イメージはしやすい。
ちなみに銀河系から最も近い銀河である、大マゼラン雲の大きさは2万8000光年…つまり2.8cmの極小どら焼きだ。距離は16万光年離れているから、その距離はわずか16cmしかない。極めて近いことがわかる。
でもこれ、1万光年→10cmにしただけのこと。これだけなのに、距離感が掴めてくるからおもしろい。
いま地球の周りを飛んでいるスペースシャトルと宇宙ステーションは、地球からどの程度離れたところを回っているのか?
直径12800kmの地球を直径10cmリンゴとする。
宇宙は高度100kmからとされているから、表面から0.8mm~が宇宙ということになる。スペースシャトルや宇宙ステーションがいるのは、地上から約300km~500km離れたところというから、リンゴの地球だと、わずか2.1mm~3.5mmのところにすぎないのだ。
地上から36,000kmの距離を飛んでいる静止衛星になると、リンゴの表面から26cmあたりまで離れる。さらに、月の大きさとその距離は…月の直径は3480kmで、地球の4分の1。直径2.7cmのキンカン程度の大きさ。距離は380,000kmだから、リンゴの地球とキンカンの月の世界では、約3m離れていることになる。意外と離れていることに驚く。月への旅がいかに大変だったことがよくわかる。
そんなたとえ話が豊富で、宇宙にちょっとでも興味がある人は、読んで損はない。