2079 最先端認証システムのその後

定点観察

本人認証は、どのような環境下であっても、正しく本人を特定できる必要がある。また容易に偽造できないようなセキュリティ対策も万全に施さなければならない。そして、当然であるが、手間や負担を最小限にしなければならない。

非常に高い注目を集めた「くしゃみ」による最先端の認証システムは、入室するためにくしゃみをしなければならず、身体に過剰な負担を掛けてしまうという指摘を受けた。当然であった。鳴り物入りで導入されたのに、このまま使用を取りやめてしまうのももったいない…ということで、さらにほかに方法がないか研究が進められた。

その結果、既存の仕組みを活用しつつ、代替的な認証手段として「鼻をかむ認証」という方法が提案された。これは、鼻をかむ行為が、人それぞれ異なった音を出すことから認証に使えないかと考えられたのだ。これまであまり顧みられることの無かった画期的な方法であり、偽造も容易ではないと期待されたが、これも耳に負担が掛かるということもあって、あっけなく採用は見送られる。

自分が自分であることを証明するというのは、実は非常に難しい。いろいろ考えられている認証というのは、あらかじめ登録しておいた情報と一致しているかどうかを確認しているだけであって、本人かどうかを確認しているわけではない。登録情報といま目の前にいる者を一致していると見なすのは、たまたま認証された情報が一致したと言ってるに過ぎない。

であれば、従来の暗所番号の考え方を進めて、自分で書いたキーワードの数々を登録しておいて、扉の受付の者に、キーワードを所定の数以上正しく言えるかどうかをチェックする方法を採ることになった。なんてことない“合い言葉”による認証だった。当分の間この方法が採られることになった。

こんなところに機密情報を持たせて良いのかどうかという議論が出てきたことはいうまでもない。

※あっ、言うまでもありませんが、あくまでこれは昨日の続きの妄想です…。

Posted by ろん