1666 結婚披露宴司会体験記

定点観察

 いよいよ今日は、結婚披露宴の司会の大役を果たす日だ。


そりゃダミーだって不安だ

 会場入りは9時半ということになっていたので、とにかく遅れてはいけないと会場のあるホテルへ。すぐさま会場の責任者と打ち合わせに入る。
 そもそもこの打ち合わせですら、どういう内容を打ち合わせるのかもよくわからないままだったので、一番不安がピークになったのは、実はここだったかもしれない(表情は変えなかったけど)。
 打ち合わせの内容は、振り返ってみれば当たり前のことばかりなのだけど、披露宴がどのように進行していくのか、合間の司会進行の言葉や、音楽や効果音のタイミングを再確認することだった。でも”再”じゃなくて、この場で確認することも少なくなく、ますます不安がつのっていった。

 司会進行の言葉については、僕があらかじめ作って持っていった原稿を読み合わせながら確認する。司会をするのであれば当然、こうした資料はしっかりとしたものを作っていくことが大事だろう。アドリブなんて、よほど慣れた人でなければできるものではない。きちっとしたものを作っていくことは、参加している全員のためでもあるし、もちろん自分自身のためでもあるし、当日一緒に進めていく係の人も安心だろうし。


リハーサル中

 披露宴会場のとなりでは、結婚式のリハーサルをしていた。短い時間の中でひとつの行事に向かってさまざまなことが同時並行的に行われている。


これを読むのは酷だろう

 さきほど打ち合わせで不安がピーク…と書いたが、実はもう一つ大きな不安を抱えて続けていたことがあった。それは、もう本番直前なのに、新郎新婦のプロフィール紹介用の原稿がまだ手に入っていなかったということだった。
 前日まで手に入らず、結局原稿にして持ってきてもらうことになっていたのだ。それがこの時間になってもまだ手に入らない。

 係の担当者と、どうしようか…と困っていたところ、何とか新郎本人を捕まえてもらって、確認したところ、受付で渡してもらうということになってたらしい。
 そういえば、ここに来てすぐに打ち合わせしてしまったので、まだ受付はしてなかったことに気付く。急いで受付を済ませてプロフィールをもらう。そうして手に入れたプロフィールが、本番で読むには耐えられない代物(笑)…って今でこそ笑えるが、このときには本当に冷や汗ものだった。つまり原稿らしい原稿がないことを意味したからだ。一番やりたくなかったアドリブ決定の瞬間だった。

 そうこうしているうちに、結婚式が始まった。
 牧師さんは、とてもいいこと言っている。それはわかるのだけど、もうすぐ始まる披露宴のことばかりが頭にあって、ちゃんと聞けず…


いよいよ!

 結婚式は滞りなく終わり、11時30分。いよいよ披露宴が始まる。

 とりあえず、第一声。

 「本日はお忙しいところ、お集まりいただきありがとうございます」

 うん。まずは、きちんと声が出せたというか、話し始めることができた感じ。
 そして、開始早々すぐに難関がやってきた。プロフィール紹介だ。

 この時点でも、どうしていったらいいか細かいところまで考えついてなかったので、もう正直に言うしかない…ということで、「原稿が使えたモノじゃないから、直接お二人にインタビューします」…みたいな形で無理矢理乗り切るという作戦に出た。新郎新婦ともに少々困らせたかもしれないけれど、文句は新郎に言ってくれ。


食べるぞ!

 この難関が過ぎ去ったあとは、ほとんど勢いで話をしていった。すぐ近くが友人席だったこともあって、気分的にそれでずいぶん救われた気がする。
 友人席には司会の僕が座る席も用意してあって、行ったり来たりしながら、ご歓談タイムを見計らって、出てきた料理をどんどん食べた。司会はどうせ食べられないだろうと思っていたが、そこそこ時間があったので、結局ほとんど食べることができた。

 自分の席にいるときは、あーしようとか、こうしよう…みたいなことを考えるし、友人達もいろいろアドバイス?をくれるのだが、いざ、司会席に行くといろんな考えが、すっ飛んでしまう…。慣れてくると、そうした考えや思いが、司会席に行ってもできるんだろうな。
 もちろん、全体を通して、係の人がこまめに指示をくれるのだけれど、なかなか思うように話ができない。緊張と流れがわかってないために、一瞬、係の人の言っている意味すらわからないというときもあった。もし可能ならば、もうちょっとリハーサルに時間があればいいなと思う。

 始まってしまうと、あっという間で、なんとか無事に終了。

 会場でも話をしたが、本当に参加いただいたみなさまのおかげで、何とか進行できたなぁ…と思った。親族の方からも、直接司会についてお礼を言ってもらったり、中には、「これを機会に(司会業としての)小遣い稼ぎができるんじゃないか?」なんてことも言われたので、まぁなんとか役目を果たしたかな…なんて思えた。
 確かに、何度かやっていけば、流れというか”勘所”がわかってくるんだろうなぁ…っていう感じはしたので、あまり小遣い稼ぎにはならないけれど、もう少し余裕を持ってできるかもしれない…なんてことは思えた。

 ホテル関係者のみなさま、このたびはありがとうございました。この場では失礼かと存じますが、お礼申し上げます。
 おそらく個人的にお世話になる機会はない?とは思いますが、今後ともどうぞ頑張ってください。


 披露宴が無事に済んだが、終了時間が14時半だったということもあり、近所で少し話でもしようや…ということになった。行った先が中央線からよく見えるカナルカフェ。canalとは運河のはずだと思っていたが、あとから調べたら「掘り割り」という意味もあるみたいだから、別にいいのか。

 オープンエアのレストラン&カフェなので、この時期は過ごしやすいかな…なんて思いきや、今日はやたら蒸し暑く、さらに蚊がたくさんいて、ちょっと落ち着かなかった。飲み物と一緒に蚊取り線香を頼まなければならないほどだった。…あ、もちろん蚊取り線香は、無料ですが。

 なかなか良い雰囲気だけど、もっとも僕が気になるのは、堀の対岸を走る中央線電車だった。オレンジの201系電車にまじって、近々姿を消してしまう183系特急電車なども見られて、それだけでもなんだか楽しかった。

 けれど、しばらくすると、疲れがどっと出てきてしまう。たぶん普段使わない神経を使い果たしてしまったからだろう。とりあえずおつかれさまでした →自分。

Posted by ろん