1621 試されているのは…

定点観察

 環境の急激な変化、緊急事態に遭遇したときや、自分の招いた失敗によって状況が悪化したときなど、日々の生活の中では、さまざまなピンチがある。それも、ごくごく小さなものから、大きなものまでいろいろあるが、人は、そうしたピンチを切り抜けていくことで生きていける。中にはそうしたピンチを切り抜けることができずにまともにぶつかって、痛手を負うこともあるけど。

 よく言われることかもしれないけど、人の本当の実力はそうしたピンチのときに現れると思う。

 当たり前だけど、ピンチは非常事態だ。いつもと異なる状況だからピンチなのだ(慣れたピンチなどない)。ピンチの時はこれまでの経験を生かした対応をするしかないのだ。その対応をする瞬間、こんなことが試されているのではないか…なんて思う。 

  • かつての経験を思い出す「記憶力」
  • これまでの行動から対処方法を検討する「応用力」
  • その場で実行に移すための「瞬発力」

 一度に複数の力が試されるのが、ピンチであったり苦しいときである。気楽に過ごしているときには決してこれらの力を使うことはない。だから、ピンチや苦しいときにこそ、全く見えないものが見えてくるはずだ。そしてさらに、一番重要なことは、これらの力を発揮することのできる、冷静さだと思う。冷静さがなければ、これらの力を発揮できないばかりか、自滅への道をたどることになる。

 僕は、いま、ある人に仕事を教えなければならない立場にある。
 自分の他業務と重なって教える時間が取れないこともあるし、教えられる立場にある彼自身の慣れの問題もあるのだろうが、なかなかうまく伝わらない状況が続いている。自分にとって、これほどうまく伝わらないことは、これまでになかったから、焦っていた。そのため、かなり苛ついていたようだ。自分自身ではあまり認識してなかったが、自分の周りの人たちからそんな指摘を受けた。

 でも考えてみたら、まさにこれは彼自身のピンチ(気付よ!)でもあり、「僕自身のピンチ」でもあったのだ。苛ついていた僕は、ピンチに対応するために一番重要な冷静さを失っていたのかもしれない。どうりで、いつまで経っても解決しないわけだ。
 明日からちょっと落ち着いてやってみよう。どうやら僕自身が試されていたのかもしれない。

Posted by ろん