1534 もっと冷静になって。

定点観察

 今日の朝日新聞の天声人語に、こんなことが書かれていた…

 先日、JRの尼崎駅に降りた時、時刻表を見た。脱線した電車と同じく、この駅から大阪の北新地などへ向かう線の本数は、朝8時台で上りが13本だった。そして、大阪駅や京都駅へ向かう線の方には、40本あった。東京の山手線が二十数本だから、確かに、かなり密だと思った。

 この文章で書かれている「大阪駅や京都駅に向かう線(=東海道線)」と「山手線」とは、実は比較すること自体全く無意味なのだけれど、それはなぜかおわかりでしょうか?(参考:東海道線尼崎駅時刻表山手線新宿駅時刻表

 尼崎駅の時刻表をよく見ればすぐにわかるのだけれど、同時に2本の列車が出発しているところがある。これは、なんのことはない複々線の時刻表なのだ。大阪方面へ主に快速用と主に各駅停車用の2つの線路があって、その合計が40本という時刻表なのだ。そういう意味では、複線である山手線新宿駅の方が密であると言える。そもそも筆者は、40本あると言っているけれど、実際に数えてみると32本しかないので事実の誤認もあるが…。
 さらに、複々線の過密ぶりが危険だと言うのだったら、中央線新宿駅の例を見て欲しい。中央線も複々線である。 (参考:中央線(快速)新宿駅時刻表中央線(各駅停車)新宿駅時刻表
 同じ8時台、中央線各駅停車が22本、中央線快速電車28本で、なんと合計50本も走っているのに…。これだけ過密なのに、特に何か指摘された風でもない。

 何が言いたいかというと、事故から2週間が過ぎ事故の状況が明らかになる一方で、ボーリング大会や宴会を開いたという話が出たあたりから、報道が変質し始めた感じがしてならないということだ。事故解決には直接結びつかないような、JR西日本への単なるバッシングになっているように見えてしまう。今回のような記事はその例で、比較自体無意味なのに、JR西日本のダイヤは過密だという印象だけを与えている。

 JR西日本全体の問題として考えられてはいるが、その中にあって、JR西日本が抱えている問題に警鐘を鳴らしてきた人は、本当に誰ひとりいなかったのか? この事故にあたり、責任を持って職務を全うしている人はひとりもいないのか?

 もちろん事故は問題だし、JR西日本の企業体質にも原因があることは、ほぼ間違いない。けれど、いまの報道が、とにかくJR西日本が悪いということだけが一人歩きしていて、線路への置き石、駅員や乗務員への暴言や暴力といった妨害行為を誘発しているんじゃないかとすら思えてくる。なんだかマスコミだけがやたら熱くなってるような気がしてならない。

◆5/10 7194歩 / そういえば、昨日途中まで飲んだペットボトルのお茶をどこかに忘れてきてしまった…

Posted by ろん