趣都の誕生 萌える都市アキハバラ/森川 嘉一郎

■建築・都市,龍的図書館

4344002873 趣都の誕生 萌える都市アキハバラ
森川 嘉一郎

幻冬舎 2003-02
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 秋葉原の雰囲気が変わってきたと感じるようになったのは、ごく最近のことだ。それもあらためて思い返してみると…と言ったレベルである。
 かつて高校時代には電子部品を買うため、何度も足を運んでいたが、大学進学以降は足が遠のいていた。その後、仕事柄、秋葉原が無縁の街ではなくなったこともあり、行く機会は増えた。秋葉原の変化を感じる機会は少なくなかったはずなのだが、アニメキャラクターで覆われてきたという違和感はなかった。それだけオタク趣味のアニメキャラクターと秋葉原の親和性が高いと言えるのかもしれない。
 本書は「東京」「都市」「建築」「航空機」から、はては「オウム真理教」に見られたサティアンに至るまで、さまざまな切り口で、世界的にも類を見ない趣味が露出した都市”趣都アキハバラ”誕生の背景を解説している。著者の見識の幅の広さに驚く。
 口絵の写真では、秋葉原とその他の都市と比較することで、その特異性を明らかにしている。
 人格が偏在(秋葉原と渋谷で、それぞれ撮った写真に写った人たちの雰囲気…体型!が最初から決定的に異なる)、建物の壁がどんどん透明化するのが渋谷で、窓がどんどんふさがれ不透明化するのが秋葉原、ブランド品や外国人の広告が並び海外指向なのが渋谷で、あくまでもメイドインジャパン指向なのが秋葉原…などなど、とても興味深い考察が並ぶ。
 アキハバラとオタクを通して、都市とは何なのか?を考える。
(2005/3/27) 【★★★★★】 -05/3/27更新