8111 小企画展「物語る黒線たち――デューラー「三大書物」の木版画」

国立西洋美術館で開催中の小企画展「物語る黒線たち――デューラー「三大書物」の木版画」を鑑賞。
アルブレヒト・デューラーは、ドイツのルネサンス期を代表する画家、版画家、美術理論家だ。
その彼が自ら出版者となって刊行した「三大書物」である『黙示録』、『大受難伝』、『聖母伝』を紹介する小企画展。
これらがすべて木版画で作られていることを知ると、それだけですごさを感じる。
なかなか理解しがたい作品も多い。

「書物をむさぼり喰う聖ヨハネ『黙示録』10」という作品では、タイトルのままだが、紙をムシャムシャ食べてたりする。
そんななか、一番気になったのは、作品…ではなく、デューラーは美術史上でもっとも早く、芸術作品の「コピーライト」に近い権利を主張した人物だったという解説だった。
デューラーの版画は、当時の美術界に多大な影響を与えたが、一方で多くの「海賊版」を生み出した。
なかには精巧に模倣し、デューラー独自のサインである「モノグラム」((AとDを組み合わせた記号)まで、そのままコピーして販売していた。
これに対して、デューラーは自身の記号を不正に使用した模造品の販売を禁止するよう訴え、その結果認められたのは「名前とモノグラムの使用禁止」だけで、「作品そのものを模倣して作ること」自体は禁じられなかったという。
また「聖母伝」などの書物の末尾には「神聖ローマ皇帝マクシミリアン1世の特権(販売独占権)」を得ていて、帝国内での海賊版の販売を禁ずるといった、計11行にわたる警告文が添えられていたそうだ。

