7516 特別展「もうひとりのル・コルビュジエ—絵画をめぐって」

大倉集古館で開催中の、 特別展 大成建設コレクション「もうひとりのル・コルビュジエ—絵画をめぐって」を鑑賞。
世界中の建築作品が世界遺産として登録されているとおり、ル・コルビュジエは20世紀を代表する建築家である…と同時に、多くの美術作品も残していた。
というより、もともと彼は、画家志望であって、建築家として大成してからも絵画の創作は続いていて、建築も絵画もどちらも重要な活動だったのだ。
今回の特別展は、大成建設が所蔵するコルビュジエの作品から約130点紹介されている。
今回、展示方法がちょっと変わっていて、4章に分かれている展示のうち、1階から始まる順路が「3.象徴的なモチーフ(第二次世界大戦後の作品)」「4.グラフィックな表現(1950年代以降の作品)」となっている。
それらを鑑賞して、2階に行くと「1. ピュリスムから(1920年代の作品)」「2. 女性たち(1920年代末以降の作品)」と、章の構成が入れ替わっている。
これは展示する作品の数による都合なのかもしれないけど、どうもこの順番の変更が、理解を難しくさせてしまってる気がした。
少なくとも自分にとってはそう感じた。
というのも、画家としてのコルビュジェをあまり知らない段階で、あまり見慣れないうえに、けっしてわかりやすいとは言えない作品を鑑賞した後に、そこに至る経緯を紹介されると、かなり”消化不良気味”になってしまうのだ。
それよりも、あえて建築家としてではなく、画家コルビュジェとしてのみを初期から順に追っていって、その画風やモチーフの変化と建築との関係を紹介するような流れであれば、わかりやすかった気がする。
2階で紹介(つまり見学では後半)されている「ピュリスム」という絵画形式がとても重要なキーワードになるようだ。
ル・コルビュジエと画家のアメデエ・オザンファンが提唱した「ピュリスム」は、近代科学と機械の進歩により機能性が純化された絵画形式(純粋主義)のことを指す。
当時全盛だった「キュビズム」を、主観的で無秩序な芸術であると批判している。
けれど、素人目には、どこかピカソっぽいし、あきらかに無縁ではないし、影響を受けているようにしか思えない。
そんなピュリズムを突き詰めていく過程が、建築と密接にかかわっていったのではないかと感じた。
観賞は、1階→2階を経て、最後に地下の展示となるが、そこでようやくパネルや模型などの建築に関連した紹介がある。
コルビュジェが、ピュリズム…つまり科学技術の進歩で機能性を突き詰めていった結果、たどり着いた結論なのではないかと思うことがある。
ル・コルビュジエの著書「輝く都市」には、密集している低層建築物を高層ビル化と地中化により垂直に集積させ、高層ビルを建設して緑地面積と公開空地(オープン・スペース)を確保し、街路を整備して自動車道と歩道を分離し(歩車分離)させることで、都市問題の解決を図ろうと提唱しているという。
これは、六本木ヒルズをはじめ、森ビルが手掛けている再開発の手法そのものではないか。
これは帰ってから検索して知ったことだが、森ビルの中興の祖である森稔が、コルビュジェに傾倒していたことがあったという話がある。
コルビュジェがピュリズムを経てたどってきた世界が、ごく身近に具体的な形となって表れているのだと思うと、とても興味深い。