7510 展覧会「いきもの賞玩」
展覧会「いきもの賞玩」の鑑賞のため、皇居三の丸尚蔵館に行ってきた。
賞玩(しょうがん)は、“そのもののよさを楽しむ”という意味だそうで、今回の展覧会も、モチーフとなった作品を通じて、いきものの魅力を楽しんでほしいという思いがあるようだ。
後半の一部の作品を除いて、すべて写真撮影可能。
まずは、皇室に伝わる昆虫や鳥を詠んだ漢詩や和歌などが紹介されている。
文字に書かれているだけなので、最初のほうは、正直よくわからないまま、作品を鑑賞していく。

中国·清時代((8世紀)に描かれた「餐香宿艶図巻」は、非常に細密な虫や花などが描かれている。
解説にあったから気づいたのだけど、よく見ると、カエルがトンボを捕まえて食べようとしている場面がある。

真っ白なガチョウが描かれているのは、伊藤若冲《動植綵絵 芦鵞図》。国宝に指定されている。
パッと見た感じは、正直、それほど特別な感じはしなかった。
でも、よく見れば、ガチョウの羽毛感、落ちた羽の存在感など、実はかなり見どころの多い作品だということがわかる。

長沢蘆雪《綿花猫図》は、蘆雪の描く絵のイメージは、コロコロとした犬なので、こうした強い表情の猫はちょっと意外。自分の知っている蘆雪とは違う。
ただ猫といいながら、どこか犬っぽさがある気がするのは気のせいだろうか。

塚田秀鏡《巌上鶺鴒置物》ただの小鳥の置物?というわけではなく、日本書紀の説話を元にしていて、イザナギとイザナミ に国産み(子作り)の方法を教えたのがセキレイなのだという。
神話も知らないとまったく理解ができないということになる。
中川寿雄《白鼠置物》と《羽箒に子犬》
ねずみがモチーフになっていると、ついテンションが上がる。
意外だったのは、この作品が想像以上に小さかったことと、隣の“子犬”が“子豚”だと思い込んでいたことだった。
小さいながら、とてもよくできている。
《磁石応用四季草虫図衝立》は、四季の植物を蒔絵で表したものだが、それだけではない。
なんと磁石のついた昆虫などを好きな場所に貼り付けることができる優れもの。
現代でもじゅうぶんに通用する仕掛けはおもしろい。
四代 飯田新七《刺繍菊に鳩図額》は、タイトル通り刺繍で、色とりどりの菊の花が咲くなか、数羽の鳩がたわむれている。
鳩の光沢が、刺繍によって見事に再現されている。
皇室の海外との交流により、贈られてきた品々のうち、いきものがモチーフになったものがいくつか紹介されている。
ほとんど撮影が自由だったのに対して、このコーナーだけは撮影不可の作品が多かった。
かなりの外国人観光客が来館していたのも印象的だった。
全体を通じて、バラエティに富んでいて、とても興味深く鑑賞することができた。