5209 ル・コルビュジエの芸術空間 展
3日前に、企画展を見てきたばかりだが、その半券で常設展が無料…というのがきっかけだった。
ただ、毎月第2と第4土曜日は、もともと無料だったみたいで、ちょっと損した気分…別にそんはしていないのだけども。
国立西洋美術館の常設展を見たのは、十数年ぶりだと思う。
常設展は常設展でおもしろかったが、こちらと合わせて開催していた「ル・コルビュジエの芸術空間」という企画展は、もっとおもしろかった。
国立西洋美術館は、戦争でフランスに接収された「松方コレクション」の返還を受けるために作られることになり、この美術館の設計をしたのが、ル・コルビュジエであった。
ル・コルビュジエは、建築界に多大な影響を及ぼしたことから、彼の設計した国立西洋美術館は、昨年、東京都内初の世界文化遺産に指定された。
彼が、設計の依頼を受けてから、どういった構想を経て、できあがったのかを辿るのがこの企画展だ。
依頼を受けて、現地(つまり、ここ)を視察して、その直後から書き始めたメモが残っている。
この段階では、現在とはまったく違った計画が描かれていて、現在の状態になるまで、かなりの紆余曲折が、メモやラフスケッチの形で残されている。
印象的だったのは、コルビュジエのこだわりがすごいということだった。
収蔵品の増加を見越して無限に拡張できるという「無限成長美術館」という理念を最後まで捨てようとはしなかった。
そもそも、本来の展示目的である「松方コレクション」は、”増えることはない”ので、実は趣旨に合っていないのだ。
予算超過をしているのに美術館以外の建物を建てようとして譲らなかったり、採光に美術品には大敵である太陽光を取り入れようとしたり…。
こうした彼のこだわりこそが、この建物の特徴ではあるのだけど、”美術館”としては、正直、あまり見やすくはない。
なにより回遊性が悪いし、トイレだって地下にしかない。
それでも、この建物は特別なのだ。
今となっては、何に使われるのかわからないような場所とか、妙な構造を見つけると、コルビュジエのこだわりが感じられて、楽しくなってくる。